〈権力に迫る「調査報道」 原発事故、パナマ文書、日米安保をどう報じたか〉高田昌幸+大西祐資+松島佳子編著 旬報社 [マスメディア]
権力に迫る「調査報道」 原発事故、パナマ文書、日米安保をどう報じたか
- 作者: 高田昌幸
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2016/11/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
「調査報道」のノウハウを、成果をあげた8人に聞く
権力は腐敗・堕落し、また隠蔽する。それゆえ、ジャーナリズムによって監視され暴かれる必要がある。そして、国民は事実を知る必要がある。その点、新聞等のメディアは、政府等の広報機関になり果ててはいけない。ストレートニュースのみ報じていてはいけない。
では、どうするか? 調査報道をすることである。その点で成果をあげてきた8人のジャーナリストのノウハウが本書中、インタビューによって明らかにされる。現・過去政権下でカタラレタ(それは、国民を不安に陥れ混乱を生じしめてはいけないなどの良い動機からでていることもありうるが、実質的には)ウソも明らかにされている。たとえば、政府見解によると安全なハズのイラクの「非戦闘地域」で自衛隊機はミサイル、迫撃砲の飛来する中を離着陸していた。「人道支援」で運んだのは米兵1万人・・・などである。それゆえ、調査報道のノウハウに興味のない方も、暴かれたウソと個々のジャーナリストが、ウソに感づき、それを端緒として事実を追い、ウラを取り、メディアに公表する旨を高官らに通告し、公表されたニュースが世間を騒がすに至るドラマを単純に面白がることもできる。
編著者のひとりは2013年の[調査報道セミナー]の講師として語ったことをふり返りつつ次のように記す。《「誰もが情報発信できる時代、情報があふれる時代にあって、単純に情報を伝達するだけの新聞では、読まれない。私には『新聞が消えてなくなる』という危機感がある」。/ そして、その上で、「調査報道がやりにくい新聞社の環境」と「高まる調査報道の役割」という矛盾する問題をどう克服するのかについては、「志のある記者を増やすしかない」と訴えた。/ あれから、3年半余り。記者に志があっても調査報道をする環境はさらに厳しくなっている。/ それでも、と思う。/ 記者やデスク、編集幹部である「あなた」や「私」の志がなければ、調査報道のスタートラインにすら立てず、何も始まらない》。
本書には、志ある方たちが、志を遂げるノウハウが示されている。また、これからのメディアの方向性、ジャーナリストのあり方も示されている。
2017年2月8日にレビュー
ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)
https://www.icij.org/
プロパブリカ
https://www.propublica.org/
アジアプレス
http://asiapress.org/
アイ・アジア 調査報道NPO
https://ja-jp.facebook.com/NPOiAsia/
ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く (単行本)
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2022/03/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)