『日本と世界の塩の図鑑』 青山志穂著 あさ出版 [食生活]
自分(の家族)に合った「塩」選びの助けに
著者は、「一般社団法人 日本ソルトコーディネーター協会」を設立し、塩のプロフェッショナルを育てるべく「ソルトコーディネーター」資格制度を立ち上げた方。
本書は、日本で購入できる245種類の塩を紹介する写真・図鑑。「まずは知りたい塩の基礎知識」(原料、製法、製塩の工程、意外と知らない塩の常識、新常識など)が示されたあと、「海水塩」、「藻塩」、「岩塩」、「その他の塩」に分類されて、245種の塩たちが個別に簡潔に紹介されていく。ページをめくって、見ているだけでも楽しい。
そこには、お皿にのせられた塩(の結晶)の写真だけでなく、スーパーの店頭でも見かけるパッケージの姿も示されている。購入先の住所・電話番号・URLも示されている。自分(の家族)に合った塩選びの助けにもなって親切である。
インタビュー記事も興味深い。19種の塩を、素材に合わせじょうずに利用しているイタリアン・シェフは、「まずそろえておきたい3タイプの(天然)塩」1:苦味の強い(マグネシウムが多い)塩、2:甘みの強い(カルシウムの多い)塩、3:酸味の強い(カリウムの多い)塩を用い、最期に調整するのに精製塩をつかうのがコツなのだという。さらに、もうお一方25種もの塩のパレットを用意して天ぷらを提供している店主は、塩を称して「物語のある調味料」であるという。たしかに、世界各地の塩の来歴を知るだけでも、物語はつきない。本書には、地図、索引もついて、塩の「物語」を聞くための助けとなっている。
高血圧との関係がやかましく言われ、血圧の高い方のカタキのように見なされている塩(分)ではあるが、《減塩はもう古い!? 「適塩」を目指そう》とある。最新の医学情報からいくと、塩ばかりを目の敵(カタキ)にすべきではないという。
「適塩生活のための心がけ」として以下の点が挙げられている。
1:だしや酸味、香辛料をじょうずに利用する
2:できるだけシンプルな味つけで食べる
3:仕上げにかけたりつけたりする
4:濃い味、薄い味の品を両方だす
5:食材や調理法に適した塩を選ぶ
6:加工食品を摂りすぎない
7:料理は適温を保つ
その理由は、どうぞ本文で・・
2017年1月4日にレビュー