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『知的読書の技術 本を読まないとバカになる!』渡部昇一著 ビジネス社 [読書法・術]


知的読書の技術

知的読書の技術

  • 作者: 渡部 昇一
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2016/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


2007/9月発行の『楽しい読書生活―本読みの達人による知的読書のすすめ』の新装・新書版

本書は、2007/9月に発行された『楽しい読書生活―本読みの達人による知的読書のすすめ』の新装・新書版。カバー袖の宣伝文句には、「私は、こうして読んできました。 知的生活の第一人者が語る読書家のための読書術決定版!」 と、ある。たしかに、「私は、こうして読んでき」たという回顧的記述が多く、2015/5月発行の『渡部昇一 青春の読書』と重なる点もあるが、そうでない点もあり、互いに補完する書籍に思える。評者にとって、本書ははじめて読むものであったが、『渡部昇一 青春の読書』同様、「流石だなー」の感慨をたびたび抱いた。(自慢話めいたものも披瀝されてはいるが、事実そのとおりなのだから、「流石」としか言いようがない)。

ちいさな本だが、読書を通して世界を見るたしかな目を磨こうとする者にとって、たいへん有用に思う。『知的生活の方法』の著者は、本書でその舞台裏を明らかにして記す。《ハマトンのいう「知的生活」とは、ひと言でいえば、「ドグマにとらわれず、自分で納得しなければ済まない心的態度・姿勢」ということになると思います。戦後のマルクス主義全盛時代の狂乱を苦々しく見てきた私は、いまこそ日本人にもそうした「知的生活」が必要なのではないかと考えるようになりました[p139]》と、《70年安保も無事に終わり、高度成長も一段落し》た時期の思いを回顧している。

著者長年の読書経験からひき出された「技術」の数々からも多く学べるが、なによりも学べるのは、やはり著者自身の『自分で納得しなければ済まない心的態度・姿勢』のように思う。恩師・恩書と呼ぶべきものを大切にしつつも、権威と呼びうるものであれなんであれ、それがどれほど世評高かろうがなんであろうが、自分のハカリにかけて深く考えてこられた様子を本書からも知ることができた。その態度・姿勢が著者の発見や意見、独創性にも繋がってきたのであろう。大いにあやかりたく思う。

2016年11月6日にレビュー

楽しい読書生活―本読みの達人による知的読書のすすめ

楽しい読書生活―本読みの達人による知的読書のすすめ

  • 作者: 渡部 昇一
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 単行本



渡部昇一 青春の読書

渡部昇一 青春の読書

  • 作者: 渡部昇一
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2015/05/22
  • メディア: 単行本


以下、目次

1章 読書のすすめ

Ⅰ ネット時代の読書
読書とインターネット/ 読書は「精神の食べ物」である

Ⅱ 読書の感激
読書で知った「新しい世界」 / 『三国志物語』に没頭 / 漢文に目覚める / 「活字の船」に乗って大海原へ / 留学体験と読書 / オックスフォードで気づいたこと / アメリカでの乱読体験 / 英語の本で感動できた / 20年かけて英語の本の面白さを体得した

第2章 読書のコツ

Ⅰ 読書の習慣
漫画でもいいから本に親しむ / ルビの見直しも必要 / 恩師・佐藤順太先生

Ⅱ 本は買うべし
本の活用法 / 身銭を切る効用 / 古本屋通いの効用

Ⅲ 本の品定め
馴れればわかる本の善し悪し / 漱石と漢文 / 本選びは「己に忠実であれ」 / 漱石との出会い

Ⅳ 愛読書について
愛読書とは何か / わが座右の書(幸田露伴『努力論』、ヒルティ『幸福論』、渋沢永一『実験論語』(『論語講義』講談社学術文庫)、アレキシス・カレル『人間ーーこの未知なるもの』、

第3章 読書の技術

Ⅰ メモの取り方
渡部流メモの取り方 / 「面倒なことはしない」というルールづくり

Ⅱ 目次・索引の活用
独自に索引を追加すると充実

Ⅲ 難解な本との付き合い方
難解な本も一皮むけば / 難解な本のネタ本を知る

Ⅳ 速読について
読書スピードは本次第 / 読書会の功罪 / 口述本を軽視すべきではない

第4章 読書の周辺

Ⅰ 読書と人間
人間とは何かーーふたつの「量子的跳躍」 / 「不滅の霊魂」について / 読書は最も人間的な営みである

Ⅱ 読書と経験
「昭和史」論の原点は佐々木邦の小説 / 公職追放を促進した「赤い人たち」 / 戦前の左翼たち / 戦後日本に凱旋した反日教授 / 歌謡曲からもわかる「戦前の日本」

Ⅲ 読書と時代
ハマトン『知的生活』との出会い / 『知的生活の方法』の舞台裏 / 知的生活の大切さ / ハマトンはどう読まれてきたか

Ⅳ 読書と発見
古い百科事典は貴重だ / 『ブリタニカ』第3版補巻の豪華執筆陣 / 本家に先駆けた『イギリス国学』の発見 / サッチャー首相が飛びついたスマイルズの再評価 / 日本の「読書人の伝統」恐るべし

Ⅴ 読書と注釈書・関連本
「積ん読」は必要悪 / 注釈書の思い出

Ⅵ 読書と辞書・事典
電子辞書より紙の辞書 / 「戦前」を知るには戦前の『三省堂百科事典』がお奨め / 日本の国語辞典・人名辞典の水準

第5章 読書各論

Ⅰ 古典の読み方
古典はまず教室で教えること / すべての日本人が古典のサワリを暗記するには / 私の暗記法

Ⅱ 小説をどう読むか
Never Let Me Go を読む / 人間を深いところで揺さぶる「小説の力」 / 通俗小説から得た人生訓 / 小説は社会を映す / 私の愛読小説

Ⅲ 詩の読み方
詩は知力を高める / 和歌・俳句の読み方は萩原朔太郎から学んだ

Ⅳ 教養書・洋書との付き合い方
自分の栄養になれば教養書 / 洋書は音読せよ

付録 無人島へ持っていく十冊
前提条件としてーー / 「私の十冊」





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