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『世界の文豪の家』 エクスナレッジ [建築など]


世界の文豪の家

世界の文豪の家

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2016/09/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


条件をおなじくすれば、もしや「文豪」に

2013年に、本書と同じくエクスナレッジから『文豪の家』が発行されている。《家を知れば文学が見える!》をうたい文句に、《どんな家で名作が書かれたかを知ることで、 同じ作品も今までと異なる読み方ができるはずです》と、その紹介文にあるが、本書は、その外国版。

これまでも、著名作家の「書斎」を紹介する本が出ている。それらはもっぱら作家の作業場の秘密を明かすような内容だが、こちらは、もっと遠景からながめる感じ。出生した家や、転々としたなかで今では記念館として残されている家。「終の棲家」となったところなど、いろいろ紹介されている。

写真は、本書のために特別に撮影されたものではなく、外国の写真家や出版社に帰属するものを借りている。簡単な略歴(年表あり)と、あっさりとした解説がなされている。そうではあるが、フツウの文学辞・事典では紹介されない解説・写真も少なくない。たとえば、ヘミングウェイ主催のカジキ一本釣りの大会で、「フィデル・カストロが優勝したこともあった」といった内容だ。

この人は「文豪」に数えられるのかと思う人も中にはいる。まさに「豪邸」と呼べる立派な家をもっていながら、その傍らに、独立した小屋を設けて執筆をした「文豪」が3名ほどいる。高級調度品などに囲まれていては、わりと執筆はしにくいものなのかもしれない。その小屋の屋根の形が6角形の「文豪」、8角形の「文豪」がいる。12角形の机をもちいて執筆した「文豪」もいれば、立ち机を用いた「文豪」もいる。風光明媚なところに住まいしたいのは、だれしも同じなのだろうが、水辺を愛した「文豪」は多い。さて、誰であろう・・?条件をおなじくすれば、もしや「文豪」になれるかもしれない。

悲惨な終わりを迎えた「文豪」も複数いる。マクシム・ゴーリキーに関する解説を一部引用してみる。《1917年、ついに帝政ロシアが崩壊。出版社創設などの文化活動に力を注いだが、レーニンと知識人に対する処遇で対立し、結果、結核の療養という名目で再びイタリアで暮らすことになる。国民的作家として母国に住まいを戻したのは1931年。その帰還は政治宣伝に利用され、豪邸をあてがわれた彼は、1934年にソヴィエト作家同盟を結成し、議長に就任する。しかし、その後は事実上の軟禁状態におかれ、人生の幕を閉じた》。

2016年10月29日にレビュー

文豪の家

文豪の家

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2013/04/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)

センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)

  • 作者: 内澤 旬子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/01/06
  • メディア: 文庫



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