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『古書店のオヤジが教える 絶対面白い世界の名著70冊 』日比野 敦著 三笠書房 [読書案内]


古書店のオヤジが教える 絶対面白い世界の名著70冊 (知的生きかた文庫)

古書店のオヤジが教える 絶対面白い世界の名著70冊 (知的生きかた文庫)

  • 作者: 日比野 敦
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2016/09/23
  • メディア: 文庫


古本屋のオヤジに脱帽

これだけの数々の古典を、かいつまんで、これだけしゃべれたら、大したものとしか言いようがない。しかも、要約しているだけではない。他の古典との関連や後々の時代への影響を示し、現代的意義も示している。脱帽である。オヤジの店に奉公して教えを乞いたいくらいだ。

本書は三笠書房の『知的生きかた文庫』シリーズの一冊。以前、このシリーズには、カバー写真などなかった。読んでいるうちに気付いたのだが、要するに文庫本である。「書き下ろし」である。おまけに国立国会図書館勤務経歴もあり、日本ペンクラブ会長もつとめ、山梨県立図書館長もつとめる作家阿刀田高氏の推薦文付きである。それでも、推薦などなくても、著作として十分独り立ちできる本だと思う。(「古典」になるかどうかは保証できないが・・・)。

トマス・ペイン『コモン・センス』から引用してみる。《アメリカという国について知ろうとするなら、まず『コモン・センス』を読まなくてはならない。そこにこそ“アメリカの原点”たる 「常識」 があるからだ。ボブ・ディランもこう歌っている。 // ある朝外に出て As I went out one morning. トム・ペインと同じ空気を吸った To breathe the air around Tom Paine's. 》

ヴォルテール『カンディード』から《 こうしてみると、ヴォルテールの真の標的はライプニッツだけではなく、「起こったことはすべて善いこと」として、世情に対して無関心を決め込む貴族たちだったのではないだろうか。実際カンディードは、領主の甥として、冒頭においては何不自由ない暮らしをしている。// 目線と鼻面を上に向けたまま、自分のつま先すら見ようとしない貴族へのルサンチマン(怨み)が『カンディード』にはこめられているように思われる》。

掲載書名等・・ヘロドトス 『歴史』 // トゥキュディデス 『戦史』 // プラトン 『響宴』 // アリストテレス 『形而上学』 // 聖書 // カエサル 『ガリア戦記』 // プルタルコス 『英雄伝』 // スエトニウス 『ローマ皇帝伝』 // トマス・アクィナス 『神学大全』 // ダンテ 『神曲』 // イブン=ハルドゥーン 『歴史序説』 // エラスムス 『痴愚神礼讃』 // マキャベリ 『君主論』 // トマス・モア 『ユートピア』 // ルター 『キリスト者の自由』 // モンテーニュ 『エセー』 // デカルト 『方法序説』 // ホッブズ 『リヴァイアサン』 // パスカル 『パンセ』 // スピノザ 『エチカ』 // ロック 『統治二論』 // ライプニッツ 『モナドロジー』 // モンテスキュー 『法の精神』 // ヴォルテール 『カンディード』 // ルソー 『社会契約論』 // トマス・ペイン 『コモン・センス』 // アダム・スミス 『国富論』 // ギボン 『ローマ帝国衰亡史』 // カント 『純粋理性批判』 // マルサス 『人口論』 // ヘーゲル 『精神現象学』 // ゲーテ 『ファウスト』 // ショーペンハウアー 『意志と表象としての世界』 // クラウゼヴィッツ 『戦争論』 // バルザック 『ゴリオ爺さん』 // トクヴィル 『アメリカの民主政治』 // キェルケゴール 『死に至る病』 // ソロー 『森の生活──ウォールデン』 // ミル 『自由論』 // ダーウィン 『種の起源』 // トルストイ 『戦争と平和』 // マルクス 『資本論』 // ニーチェ 『ツァラトゥストラはかく語りき』 // ヴェーバー 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 // フッサール 『現象学の理念』 // ベルクソン 『創造的進化』 // プルースト 『失われた時を求めて』 // フロイト 『精神分析入門』 // ヴィトゲンシュタイン 『論理哲学論考』 // ジョイス 『ユリシーズ』 // ハイデガー 『存在と時間』 // サルトル 『嘔吐』 // アーレント 『全体主義の起源』 // レヴィ=ストロース 『野生の思考』 // ジャック・ラカン 『エクリ』 // フーコー 『言葉と物』 // ジャック・デリダ 『グラマトロジーについて』 // ウパニシャッド // 孫子 // 孔子 『論語』 // 老子、荘子 // 孟子 // 荀子 // ブッダ 『スッタニパータ』 // マハーバーラタ、ラーマーヤナ // 司馬遷 『史記』 //陳寿 『三国志』 // 孫文 『三民主義』 // コーラン

2016年10月28日にレビュー

教養のためのブックガイド

教養のためのブックガイド

  • 作者: 小林 康夫
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2005/03/29
  • メディア: 単行本



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