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『私の「貧乏物語」――これからの希望をみつけるために』岩波書店 [自伝・伝記]


私の「貧乏物語」――これからの希望をみつけるために

私の「貧乏物語」――これからの希望をみつけるために

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/09/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


河上肇の『貧乏物語』から100年目。今日、名を成した方たちの「貧乏」物語の数々。希望のありかをさぐる灯・・・

過去を振りかえって、自分は貧乏などと思っていなかったという方がけっこう多い。気のもちようしだいではないかという見方だ。なかには、貧しい食事と思っていたものが、今日、富裕層の食するものとなっているという話しもでる。

かと思えば、家族の病気やリストラによって、悲惨ともいえる貧乏談もある。いろいろな年代層の多種多様な職業の方の経験が語られるが、女性たちの怨恨(そういう言葉は用いられていないが)は深い。それは、どこへ向かうのだろう。マグマが噴出先をさがしているようにも思える。

「格差」を実体験した方の憤りも深い。比較する(される)ことによって「貧乏」(の自覚)が生まれることが分かる。ある方は、今日の『貧乏物語』の起源について次のように述べる。《バブル時代は最悪だったが「一億総中流」の時代は、訪日した「連帯」のワレサが「これぞ我々の目指す社会!」と感激した位だから間違っていなかった。間違ったのは「総中流なんておかしい。世界の進んでいる国はみんな競争社会だ」なんて訳知り顔の人に吹き込まれて「間違い」に気付いたように思った辺りからだ。だいたい日本人は(もちろん僕も含めて)島国人で外国語も苦手だから「よその国では」という話に滅法弱い。だから下心のあるズルイ人はすぐそういう言い方をする。// 「アメリカでは」「ヨーロッパでは・・・」// 騙されてはいけない。// 競争原理を語った小泉さんの時代から世の中が確かに悪くなった。「普通」や「中流」が怠惰の代名詞のようになって「規制撤廃」が金科玉条になった。そこから諸々の今の『貧乏物語』が出ている》。

河上肇の『貧乏物語』から100年目。今日、名を成した方たちの「貧乏」物語の数々。希望のありかをさぐる灯となるものかどうか。なにはともあれ、身につまされつつ、半日ほどで読みきった。

2016年10月12日にレビュー

貧乏物語 (岩波文庫 青132-1)

貧乏物語 (岩波文庫 青132-1)

  • 作者: 河上 肇
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1965/10/16
  • メディア: 文庫



以下に、目次(URLは、御当人を紹介する「ウィキペディア」もしくは御当人のブログ等のページ)を掲載

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