「考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話」ポプラ社 [考古学]
考古学者が遺跡を掘れば遺骸やミイラに出くわすであろう。その種の怖い話、怪談めいた経験が出ているものと思った。実際のところ背筋の寒くなる話は2題ほど出ている。発掘現場のもつ「悪いエネルギー」に当てられたという話である。やはり、そのような場所はそのような雰囲気があるようで、地元の人々も敬遠する場所でのことだ。
それ以外はもっぱら、著者御三方(大城道則、芝田幸一郎、角道亮介)の発掘地シリア、エジプト、ペルー、中国での考古学を志したいきさつやそれら地域の文化的話題である。人々、食、性といった分野の「怖い目にあった話」が示される。
本書を読んで一番に感じるのは考古学で食っていく(考古学者になる)には発掘が好きでないと務まらないというもの。そして、知らず知らずのうち「いつの間にやら危険な冒険に」足を踏み込んでしまうということ。何事も夢中になるとはそういうことであろう。
夢中で何事かに取り組んでいる人の話はオモシロイものだ。本書は誰もが読んで楽しめるように思う。