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「フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者」シャルル・ぺパン著 [哲学]


フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者

フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者

  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2022/01/28
  • メディア: 単行本



学校教育で哲学を重視するフランスにおいて、フランス人教師が特にとりあげる10人とは誰か、どのように理解しているものかという興味から手にした。内田樹氏は「よほどの覚悟がないと書けない」というが、ごく限られた紙数で大哲学者たちをあっさりコンパクトにまとめるには、やはり覚悟がいるだろう。また、内容的にもごく普通のアカデミックな観点からいってどうなのだろうかと思えるものもある。そのようなまとめ方もまた覚悟がないと書けない部分なのかもしれない。(各章冒頭で、著者は10人を、以下のように紹介している)。

1 プラトン:古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの弟子(ソクラテス自身は著作を残していない)、アカデミアと理想主義の創始者。

2 アリストテレス:ギリシャの哲学者。医者の息子でプラトンの弟子。高校(リセ)の語源であるリュケイオンの創立者、現実主義と百科全書派の祖。

3 デカルト:フランスの哲学者、数学者。方法論的懐疑と、人間の理解の限界と神の存在を証明する暫定的道徳の祖。

4 スピノザ : オランダ人哲学者。ラビ(ユダヤ教の指導者)になることを目指し、タルムード(ユダヤ教の経典の一つ)を研究したのち、「森羅万象」としての神を含め、神の完全否定に至る。破門され、追放され、顕微鏡のレンズの研磨という先端技術によって生計を立てていた。

5 カント:出生地のケーニヒスベルクだけで一生を過ごしながらも、「私は何を知ることができるか」「私は何をすべきか」「私は何を願うことが許されるのか」というたった三つの疑問を探求することで哲学の歴史を変えたドイツの哲学者。

6 ヘーゲル:ナポレオンと同時代を生きた、プロテスタント派のドイツの哲学者。キーワードは「歴史の終焉」と「芸術の死」。

7 キルケゴール:存在のパラドックスを唱え、ヘーゲルの理性についての考えに反論したデンマークの哲学者。

8 ニーチェ:反哲学、反ドイツ的なドイツの哲学者。「神の死」と「永劫回帰」の提唱者。

9 フロイト:オーストリアの精神分析医。ラビの息子にして、精神分析の父、能動的無意識の発見者。

10 サルトル:情熱の人。実存主義を生み出したフランスの哲学者、作家。『リベラシオン』紙を創刊、シモーヌ・ド・ボーヴォワールと契約結婚、ノーベル文学賞を拒否。

本書の原題を直訳すると、「バカロレアの哲学試験で避けては通れない10人の哲学者」で、本書は要するに「受験参考書」なのだそうである。そうでありながら、フランスでベストセラー入りしたのだという。

本書・袖には次のように記されている。〈欧米のエリートにとって、哲学は不可欠な教養だ。フランスの高校では哲学が必修、バカロレア(大学入学資格試験)では文系理系を問わず哲学の筆記試験が課される。教養としての哲学を、フランスの教科書を読んで身に着けよう!〉

第36回(2019年度)「渋沢・クローデル賞」を受けたシモン・エベルソルト(Simon Ebersolt)曰く
https://kankyodou.blog.ss-blog.jp/2020-07-11



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  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2014/10/23
  • メディア: 単行本



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