「即効! 成果が上がる 速読の技術」 佐々木 豊文著 明日香出版社 [読書法・術]
韓国ソウル大学校師範大学教育研究所で研究していた朴鏵燁先生の考えがベースになって開発されたプログラム(速読脳開発プログラム)が紹介されている。著者は言う。広く「速読」と称されるものは「飛ばし読み」であって、速度と理解度は両立できない。個々の読み手のもつ知識量に依存し、推測によって理解していく「速読」は、誤解も生じうる。が、著者のプログラムは「飛ばし読み」ではなく、文字を逐次追っていくものなので、速度と理解度の両立は可能だという。
著者は、自身の「速読」プログラムをスポーツにたとえている。訓練しだいで、上を目指せるという。他の速読(本)とのちがいは、著者の強調する「落ち着き」にあるようだ。そのために取られる手法が、丹田呼吸であり瞑想である。目を疲れさせないための「両眼視」が勧められ、「早く」と焦ることなくゆっくり読むように勧められる。メトロノームを用いて記録をつけ、上を目指す。しかし、本当の速読は、楽しんで訓練を重ねるうちに、結果として可能になるものだという。
読んでいて、居合の達人が想起された。ただ、速いのではない。静かで落ち着いた精妙な動きがそこではなされる。ちなみに、本書では、いろいろな速読が紹介され、「理解不十分な読み方」「部分読み」と意識した上での実践もいくらか示されている。速読とは何か、どのように訓練できるものかを知るうえで、言わば、速読初心者という方たちが手にするにいい本のように思う。
中村紘子の生演奏を聴いて
https://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-08-31
黒澤明の「三船敏郎」評から(その「動き」について)
https://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-08-16