SSブログ

「粛清で読み解く世界史」 神野 正史著 辰巳出版 [世界史]


粛清で読み解く世界史

粛清で読み解く世界史

  • 作者: 神野 正史
  • 出版社/メーカー: 辰巳出版
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


たいへん啓発的で、瞠目

21世紀の現在、日本をとりまく国際関係・国際外交が著者の念頭にはある。すべてはそこに収束していく。単なる歴史的事実を語る本ではない。〈序章〉は〈大国の歴史から見えてくるもの〉であり、その最初の項目は〈19世紀の覇者はイギリス、20世紀はアメリカ、中国は21世紀の覇者たる資格はあるか?〉である。

他国とつきあうにあたっては、その「民族性」を知ることが重要だと著者は説く。その手がかりとして選ばれたのが「粛清」である。著者は問題を提起するだけでなく、説得力ある答えを示していく。過去の粛清の事例に照らして、将来を推し量るよう助けてくれる。

過去と現在とを行き来し、著者は歴史を縦横に語る。その語り口は興味深く啓発的で、「講談」を聞く気分である。これまで、歴史的事実、年表上の出来事として「点」としてのみ把握できずにいたことの深層を知り、他の「点」とのつながりを見出せたのは嬉しい経験。 (以下、章立て「目次」)

序章 大国の歴史から見えてくるもの(表面的な変化に騙されて本質を見誤るな) 第1章 中国における粛清の深層(粛清は王朝安定のためのカンフル剤。一瞬でも躊躇したほうが殺られる社会) 第2章 ヨーロッパにおける粛清の深層(人種差別する“戦闘民族”が神に殉じて実行した粛清史) 第3章 粛清の怪物、爆誕す!(中国の粛清と欧州のイデオロギーの融合がもたらした凶事) 終章 粛清から何を学ぶか(知識を得ることは学問の門前、得た知識をどう活かすかが学問の本髄)

2018年11月22日にレビュー

「未解」のアフリカ: 欺瞞のヨーロッパ史観

「未解」のアフリカ: 欺瞞のヨーロッパ史観

  • 作者: 石川 薫
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2018/01/16
  • メディア: 単行本



nice!(1) 
共通テーマ:

nice! 1