なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか? 岡崎 大輔著 SBクリエイティブ [アート]
望ましいコミュニケーション、意思決定のために
本書で示されるのは、ニューヨーク近代美術館で考案されたヴィジュアル・シンキング・カリキュラムを源流とする美術鑑賞法。ソレは、望ましいコミュニケーション、意思決定のスキル・メソッドとなる。その実例が8つのアート作品で示されていく。課題となる絵画を複数人で鑑賞する。感じたこと思ったことを率直に話す。そのように感じ・思った根拠を示す。同様に話される他の解釈・意見を聞く。そうした中で、多様な意見を多様なまま受け入れることができるよう訓練される。また、自分が先入観・固定観念に囚われていたことに気づくこともある。考えを広げるよう促される。一人では見逃したであろう発見もある。これから、先の見えない時代にあっては、多様な考えをすり合わせて意思決定していく必要が大きくなる。自由に意見を表明しつつ、他の意見を受け入れ譲歩できる、しかもクリエイティブな人物は、有用貴重な存在となる。その訓練は、(自問自答することにより)独りでおこなうこともできる。
だいぶ大雑把にまとめてしまったが、そんな内容だ。美術関連本でありながら、巻頭8ページに課題アート作品がカラーで掲載されるだけである。段落の改行におおきくスペースを開けて文字量は少ない。読みやすい本といえばたいへん読みやすい本である。
多忙で美術館に行くことのできないエリートたちのためには、「世界の美術館に行かなくても優れたアート作品を鑑賞することができ」るネットサイトも紹介されている。あくまでも大事なのは、自己訓練・・・ということらしい。
2018年11月19日にレビュー
The Met Collection
https://www.metmuseum.org/art/collection
Google Arts & Culture
https://artsandculture.google.com/
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)
- 作者: 山口 周
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/07/19
- メディア: 新書