『読みトレ 大人に必要な「読解力」がきちんと身につく 』 吉田 裕子 大和書房 [読書法・術]
大人に必要な『読解力』をきちんと身につけるために
社会人のための読解力増進のための本。ある程度のレベルにすでに達している読者を、さらに先へ押し出すというよりは、どちらかと言えば自分の読解力に不安を感じている方のための本。実際のところ、かなり多くの方が、読解力不足のために社会に出てから苦しんでいるのであろうと読んでいて感じた。
そのような読解力のための本が、読者に読解力を求め強いる内容であれば、それは負担であるにちがいない。著者は相当レベルを下げて書いている。下げているというのは見下してのことではなく、親切であり配慮である。分かりやすいということである。手取り足取りということである。そのようにして、「大人に必要な『読解力』をきちんと身につ」け、社会人として赤っ恥をかくことのないよう助けてくれる。
『はじめに』を見ると、「一生モノの読解力」として著者が習得するよう願っていることが3点あげられている。①文章を誤解や曲解なくそのまま読みとれる ②書かれている要素の重要度を判別できる ③内容を自分でまとめられる である。そのための簡単な課題をこなしながら、本文を読み進めることができる。
書籍レイアウトも適度に行間が空けられ見やすい。少しばかり誇張するなら「スカスカ」と言ってもいい。しかし、中身はしっかりしている。活字で埋めつくされたページに恐怖を感じるといった方にはたいへんいいように思う。水色と黒の二色刷り。
2018年11月2日にレビュー
(以下『目次』)
●はじめに 文章を読めない人が増えている?
●第1章 読む力を鍛えるはじめの一歩 要点をいかにしてつかみとるか
・文章から要点を見つけ出す
・要点発見トレーニング
・大切なことは繰り返し出てくる
・複雑な分をシンプルにとらえる
●第2章 読解の三大ポイント 1接続語 2助詞 3指示語をマスターする
・文の流れをつかむトレーニング
・「たしかに」という言葉から筆者の意見を見極める
・接続語から後ろの内容を予測する
・指示語をきちんと把握する
・助詞のにおわせるメッセージを読みとる
●第3章 文章を図解できれば一人前 様々な図解法を覚えてアウトプットにつなげよう
・因果関係や対比を図解しよう
・箇条書きで要素をリスト化
・主張・根拠・例を構造化する
・二項対立を表にまとめる
・時系列に並び替える
・ツリー図を書けるようになる
・5W1Hで整理する
●第4章 これからの時代に欠かせないリテラシー 的外れな意見を言わないために
・あおり部分を排除して、冷静に読む
・事実と意見を区別する
・事実として書かれていること自体も疑ってみる
・つかえたところと格闘する
・論理の飛躍を見逃さない
・逆は必ずしも真ならず
●第5章 読解力を長期的に伸ばす 普段の「読み方」にちょっとした変化を
・要約にチャレンジする
・読解力を鍛える新聞の読み方
・語彙力の伸ばし方
・あらためて、読書のすすめ
・自分でも書いてみる
●最終問題
●おわりに 読解力不足が原因で損をしないために
●おまけ おすすめ書籍の紹介
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