『自動車王フォードが語るエジソン成功の法則』 言視舎 [自伝・伝記]
フォードによるエジソン伝(「成功」の意味を知ることができる)
「成功の法則」とタイトルにあるが、法則を列挙解説したビジネス書ではない。ガソリン車の大量生産によって名を成したフォードによるエジソン伝である。フォードがエジソンに認知されるにいたったいきさつから語りだされる。
当時、「馬なし馬車」つまり自動車は、電気によって大衆化されるものと多くの人は見ていた。そのような中、ガソリン車を開発したフォードに、エジソンは言う。「きみ、それだよ、やったじゃないか、がんばって続けなさい。電気自動車は発電所の近くに居なければならない。バッテリーは重すぎる。蒸気自動車はどちらも駄目だ。ボイラーと火元を持たなければならないからね。きみの自動車は、なんでもそろっている(自前の動力装置を積んでいる)火を使わず、ボイラーもない、煙も蒸気もない。よくやったね。がんばりなさい」。
開発の点で迷いを抱えていたフォードは、いう。「ここで一挙に雲が晴れた。世界最高の発明の天才から全面的な賛同を与えられたのだ。世界で最もよく電気を知っている人が、この目的(自動車)に関しては私のガス発電機のほうが電気モーターより適していると言ってくれたのだ。」
そして、つぎのように語る。「視野の広さはエジソン氏の特にすぐれた能力である。電力利用についても、特定の分野においてはほとんど無限に広がるであろうが、そうでない所では一時しのぎに過ぎないことをよく知っていた。エジソンの数多くの能力のうちで、全体像をつねに把握するところは実に稀有のものである。盲目的にものを信じるということは絶対にない。」
巻末に年譜がある。エジソンは1847年、フォードは1863年に生まれ。フォードは、自分より16歳年長のエジソンの会社に16歳で働き出す。二人共に目論見がはずれたり、研究所が全焼したりなどの難儀難題をかかえる。それにもめげず「成功」をおさめていった、というところが凄いところだ。そして、その「成功」は、単なる発明品を得ることではない。開発普及し大衆化させることまでが含まれる。まったくのゼロから素材の選択吟味からはじめて白熱電灯を開発普及させたエジソンの凄さを改めて感じた。きっと、フォードも語りながら、あらためて畏敬の念を新たにしていったことであろう。学ぶことの多い本だ。
目次(章立て) // 1 エジソンとの出会い 2 少年時代の我が理想の人 3 エジソンがもたらした恩恵 4 実用の意味 5 エジソンの天才 6 発明の方法 7 成功のよろこび 8 あらゆるものへの興味 9 いつ仕事をして、いつ眠るのか 10 書物を超えた教育 11 エジソンの精神は生きていく / トーマスエジソン年譜
2018年8月13日にレビュー
大人が読みたいエジソンの話 発明王にはネタ本があった! ? (B&Tブックス)
- 作者: 石川 憲二
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2017/03/24
- メディア: 単行本
斎藤孝著『思考を鍛えるメモ力』には、以下の本の中に記されたエジソンのメモ魔ぶりが紹介されている。引用してみる。(ページ数は、斎藤著作から)
エジソンもまたメモ魔で有名です。その量は、今でもまだ整理しきれないほどだと思われています。『エジソン20世紀を発明した男』の中にメモの写真がありますが、文字だけでなく、図やイラストも書きなぐってあり、まさに無から有を生み出すクリエイティビティのルーツを見る思いがします。057
エジソンのメモは大学ノートサイズで、少なくとも400万ページ、きちんと整理すれば500万ページにもなります。 / 彼が記した日記や実験ノートは3500冊になります。専門家集団が今でも500万ページに及ぶ文献の整理や分類に取り組んでいるほどです。125
1 東京へ(南方熊楠生誕150周年記念企画展 南方熊楠-100年早かった智の人-)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2018-01-11