『新聞社崩壊 (新潮新書)』 畑尾一知著 新潮社 [マスメディア]
足元で起きている情報地殻変動とその行方を実感できる
マスコミ関連事情通の多くは、新聞社が低迷、凋落傾向にあることは知っている。なによりも、紙媒体の新聞が読まれなくなっている。どの家でも新聞をとる(契約する)のがアタリマエの時代は去った。
本書は、新聞社だけでなく、その周辺、新聞業界の末端に至るまでが視野に入っている。新聞社経営サイドだけでなく、個別宅配を担う新聞販売店の配達員や講読契約を担うセールスについても語られる。それゆえ、新聞業界の裏話もおおく知ることができる。かつての繁栄と凋落の落差を知ることもできる。
2025年に、購読者数は現在よりもさらにマイナス30%になるという推測もなされる。実際のところどうかわからないが、もっとヒドクなってもおかしくはない。自主再建は可能だろうか。著者は、そうするためのヒントを示す。そして同時に「すでに破綻している新聞のビジネスモデルを白紙撤回し、根本的に再構築する“白馬の騎士”を待たなければならない」とも記す。“白馬の騎士”とは誰か、そのヒントも示唆する。
足元で起きている情報地殻変動とその行方を実感できる本だ。
2018年8月11日にレビュー