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『簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン』 島田 雅彦著 KADOKAWA [文学・評論]


簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン

簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン

  • 作者: 島田 雅彦
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/03/29
  • メディア: 単行本


「島田雅彦 文章読本」

「島田雅彦 文章読本」。大学での講義をまとめたもののようである。章立ては「第1章 短文で綴る前の意識鍛錬」「第2章 私小説で考える自己表現」「第3、4章 短文に挑む準備段階」「第5,6章 短文レッスン」となっていて、創作をめざしての意識形成、自己形成から話しが進められる。まわりの人と同じ意識では、文章を物す意味はない。まずは個を意識し、確立する必要がある。少なくとも、他者に読んでもらうものとなるためには・・・ということらしい。迂遠のようではあるが、事実そのとおりであろう。なにしろ著者は、第一線で活躍する実作者である。そのアドバイスは捨てがたい。ただ、それで、実際に作家になれるかどうかはわからない。

2018年6月30日にレビュー

目次

序章
小説作法で短文を学ぶ
ニーチェの短文ツイートスタイル
漱石、谷崎、太宰から話題の芥川賞作家までの表現の変遷
短文の宿命
文章は音読されることを意識せよ

第1章 短文で綴る前の意識鍛錬
私たちが失ったオーラ
インスタグラムに象徴される自己表出
オーラを取り戻したいという衝動
プルースト『失われた時を求めて』の試み
「非リア充」層が紡いだ近代文学
目的を持たない散歩の効用
自己紹介で自己の見解を磨く
意外性を意識して自己表現する
書く行為は他者を慮ること
異質な世界にいる人との対話を心がける
異分野の相手の懐に入り自己表出をグレードアップ

第2章 私小説で考える自己表現
自分を客観視することが出発点
自意識過剰から「無意識過剰」へ
書物は「ロマンス」「告白」「百科全書」「小説」に分類される
自叙伝と私小説の違い
自己の客観視を徹底した夏目漱石の作品
純文学は人身掌握術に長けること
事物・事象の描写力が純文学の真髄
オーラをまとった文章とは
川端康成、古井由吉、宮尾登美子ら美文作家に学ぶ
「ワタクシ小説」が自分らしさを取り戻す

第3章 短文に挑む準備段階
相手の意表をつく自己フレーミング
自分を野菜、動物、金属にたとえる
ガストン・パシュラールの手法
自己のキャラクター化
正義感のある凶悪犯などキャラの開発を
傷つかない自分の発見法
細かいディテールを掘り下げる
五百億円の使い道
ドストエフスキーの対話スタイル
大阪のおばちゃんの噛み合わない対話
見解の乱反射が対話の魅力

第4章 短文に挑む準備段階 その2
予定調和に陥らない起承転結の要点
短文での起承転結のテクニック
メメント・モリ、死を想え
あの世、地獄、天国・・・死のイメージを広げる
「死」から葬儀、葬り方とさらにイメージを膨らます
神話時代の夢が象徴する物語を紡ぐ欲求
夢日記をつけて内なるものを見出す
別の時代や場所に生まれた自分を想像する
求愛は最も身近な短文表現
ラブレターは冗長にならず比喩で勝負
フェティシズムが比喩を進化させてきた

第5章 短文レッスン
システマティックな句作法
アフォリズム的な俳句と情緒的な短歌
旅で詠む訓練を
日記に丸裸の自分を書く
詩は高度な思弁
アフォリズムを自己流にアレンジ
言葉の組み換えに挑む
ナボコフの2言語駄洒落
手書きか、ワープロか

第6章 短文レッスン その2
書き出しの仕掛け
推敲と議論
日本人の複雑な感情表現
人間ウォッチングと散歩
無意識を獲得する方法
自我のリセット
読ませる工夫は風刺を
社会のくびきから自分を解き放て!

島田教授のワンポイント添削
S田M彦の自己フレーミング~あとがきに代えて~



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  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
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