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『定年後の知的生産術 (ちくま新書)』 谷岡 一郎著 筑摩書房 [教育・学び]


定年後の知的生産術 (ちくま新書)

定年後の知的生産術 (ちくま新書)

  • 作者: 谷岡 一郎
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 新書


「団塊の世代」を主たる対象にした「知的生産術」の本

「団塊の世代(昭和22~24年。本書では広義で昭和21~30年くらい)に生まれた人々」を励ます本。著者はそれらを「クリエイティブ・シニア」と呼び、「これからの日本を知的に先導する大きな力」と考えている。

その根拠を著者は次のように述べる。〈 a オールラウンド型の知識では若い世代に負けることがあったとしても、「これだけは負けない」という少数の「エキスパート型の」得意科目(もしくは特異な才能)を持つ。b 学ぶ楽しさを知っている。c 経済的に比較的余裕がある。d 競争を打ち勝ってきた経験を多く持つ。e 人生(キャリア・家庭・その他)を通じて、新しい価値観にチャレンジした経験がある。もしくはそのチャレンジを深く考えたことがある。f 新しい知識を吸収し、かつ消化する意欲と能力を持つ〉。

本書は、そのような方を主たる対象にした「知的生産術」の本のわけだが、どちらかというと、著者の思想信条が多く語られるなかに、「知的生産術」も絡められてあるという印象だ。その思想信条が、戦後教育(変化)論、知的エリート論、事実・客観性論、情報環境論、マスコミ論、日本弁護士会論、官僚機構論、奨学金論、ギャンブル論などに示されていく。しかし、それら思想信条には、それなりに根拠が示されて興味深く、退けるには値しない。

いわゆる「権威」によらない「民間」(権威に対するということでは「在野」とも言えると思うが)にある「団塊の世代」の知性の発露を期待したいということで、成功例も示され、著作・本(「論文」)の書き方も示される。

「団塊の世代」に属していて(あるいは、その世代に興味があって)、その歴史的な意味・意義をあじわい知りたい向きに本書はイイように思うが、年代にかかわりなく、純粋に知的生産を目指して、そのノウハウを知りたいのであれば、すでに定評のあるもっと別な本を探したほうがいいように思う。

2018年6月1日にレビュー

目次

第1章 なぜ団塊の世代が、日本を先導するのか
省略
第2章 成功している人の時間にはメリハリがある
省略
第3章 民間パワーは権威を駆逐していく
民間のパワー・・・まぼろしの邪馬台国 / 偉大なる素人 / 帰納的な知の集積 / 権威者の底の浅さ / マスコミの失墜 / 日弁連の失墜 / 大学の失墜 / 浮上する民間研究の価値 / 「ブレイン・ストーム」的習慣でアイデアを捕まえる / 「質問する力」の相互作用 / 事実とは何か / 事実の一般化 / どうやら真実・事実らしい / 客観性の保持 / 方法論の一例・・・反面教師としての厚労省の研究 / 期間の設定・・・レファレンス・ピリオドの問題 / データの管理と開示 / 厚労省ギャンブル依存研究の犯罪的な問題点
第4章 知と知が手を結ぶとき―行間の解読といらない情報
省略
第5章 著作への道―まず「やってみる」という近道
省略
第6章 本物を知る世代の新たな冒険
省略


知的生産の技術 (岩波新書)

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  • 作者: 梅棹 忠夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
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