SSブログ

『トコトンやさしい地質の本 (今日からモノ知りシリーズ)』日刊工業新聞社 [地学]


トコトンやさしい地質の本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい地質の本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 藤原 治
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2018/02/17
  • メディア: 単行本


「地“質”図」というものがあることを知った

自分の足元に広がる世界に興味がある。それで、手にした。

第1章の①は「地質ってなんだろう」。副題は「人類社会と密接にかかわるもの」。本文は〈私たちの足元にある大地は、様々な地層や岩石でできています。これらの性質・種類・状態のことを「地質」と呼びます。つまり、地質とは大地の性質という意味です〉と始まる。

8章65項目から成り、各項目は右ページに解説、左ページにイラストとなっている。章の構成は、「第1章 “地質”っていったいどんなもの?」、「 第2章 『見つかる化石』が地質を語る」、「第3章 地質がわかる地質図の秘密」、「第4章 地質を見れば自然災害がわかる」、「第5章 地質の中にはいろいろな資源が眠る」、「第6章 地質は社会の基盤となる重要なもの」、「 第7章 地質がつくる摩訶不思議な絶景」、「第8章 海洋にも地質図がある」となっていて、話題は広範である。よく160ページほどの中にこれだけ収めたものだと思う。

専門用語について、「~は・・・という意味です」「~は・・・と言います」など記しながら解説が進められる。ただ、漢字を見れば理解可能と思ってのことか「地向斜」など説明が加えられない場合がある。大型国語辞典に掲載はあるが、小型国語辞典には掲載のない言葉である。「地質」を定義づけるほどの『トコトンやさしい・・』本であれば、本文あるいは脚注などで説明を付して欲しいところ。

それでも、「地“形”図」ではなく、「地“質”図」というものがあることを知り、その利用をとおして化石発掘や安全な住居の選定に役立つ知識を得るなどできることを知った。また、気の遠くなるほどの時間感覚をもって、自他を見つめることもできるようにも思う。なにしろ相手は、地球である。

2018年5月8日にレビュー

NHKスペシャル 列島誕生 ジオ・ジャパン 激動の日本列島 誕生の物語

NHKスペシャル 列島誕生 ジオ・ジャパン 激動の日本列島 誕生の物語

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/08/12
  • メディア: 単行本


第1章 “地質”っていったいどんなもの?
1 地質ってなんだろう 「人類社会と密接にかかわるもの」
2 地質を理解するにはまずは地層から!? 「層状をなして累積した堆積岩」
3 地層のできかた(堆積岩) 「水中とは限らない」
4 火山岩 ・ 深成岩のでき方 「マグマが様々に変化する」
5 温度や圧力によって石が別の性質に変化する 「変成岩のでき方」
6 日本列島の骨格をなす付加体 「日本列島の基盤をなす付加体」
7 地層にも住所と名前がある 「地層の分類と命名」
8 地球の46億年の歴史を115に分けてみる 「地球の歴史を区分する」
9 地層累重の法則 「上にあるほど新しい」

第2章 「見つかる化石」が地質を語る
10 化石とは何か… 「石とは限らない」
11 どうして化石になったのか? 「化石のできかた」
12 目には見えない化石もたくさんある 「微化石」
13 示準化石と示相化石ってどんなもの? 「時代と環境の示標」
14 地質図から化石が出る場所を見つける 「よく見るとわかってくる」
15 化石を含む球状の硬い石 「ノジュールの謎」
16 クジラより大きな巨大サメが残っている 「天狗の爪とは?」
17 石炭、石油、天然ガスは化石と地球が創った 「燃料資源になる化石」
18 絶滅した哺乳類デスモスチルス 「歯の特徴が名前に」

第3章 地質がわかる地質図の秘密
19 地質図ってどんな地図 「地形図との違い」
20 地質図は時間を含んだ四次元情報を扱う 「いろいろな工夫」
21 地質図は地下まで見える 「断面図が示すもの」
22 地質図を読んでみよう 「簡単な地質図学」
23 重要な野外での地質調査 「露頭と推理」
24 世界の中でも特別複雑な日本の地質 「大陸の縁にあった!?」
25 どこでも地質図─20万分の1日本シームレス地質図 「ユーザーが急増」
26 地質図にいろいろな情報をオーバーレイ 「地質図Navi」

第4章 地質を見れば自然災害がわかる
27 将来も活動することが推定される断層 「活断層とは」
28 「活構造図」と「活断層ストリップマップ」 「地質図にみる活断層」
29 地震と対応付けた活断層データベース 「日本の活断層」
30 地質で重要な役目を担うマグマ 「火山の科学」
31 たくさんの活火山がある我が国の現状 「日本の火山」
32 地質構造をよくみていくと災害がわかる 「地すべり」
33 大きな振動が加わると地層が液体状になる 「液状化現象」
34 プレート境界地震、火山活動、海底地すべりなどが原因 「津波」
35 過去に来襲した津波を知る 「津波堆積物」

第5章 地質の中にはいろいろな資源が眠る
36 鉱床とは有用な鉱物資源があるところ 「日本の鉱物資源」
37 金が採れる日本の地質―黄金の国伝説― 「浅熱水性金鉱床」
38 銅、鉛、亜鉛は火山性塊状硫化物鉱床から 「黒鉱と別子型鉱床」
39 日本にはあまりない資源 「レアメタルとは」
40 希土類資源はどこにある? 「希土類の生産は大変」
41 巨大な結晶からなる岩石がある 「ペグマタイト」
42 日本の焼き物の原料 「陶土と陶石」
43 墓石や建築材など多様に利用 「石材―代表は花崗岩―」

第6章 地質は社会の基盤となる重要なもの
44 普通の人は知らないけれど絶対に必要な地図 「土木工事に必須の地質図」
45 地質図を見て住むところを決めませんか? 「それは非常に大事なこと」
46 地球の水の起源と資源的価値 「水の惑星?」
47 地下水という名の水資源 「最も消費される地下資源」
48 更新型資源と非更新型資源ってなに? 「地下水資源の特徴」
49 海と陸の地球化学図と自然放射線量 「地質図と重ねてみてみる」
50 地球内部の熱を使って発電する 「地熱資源」

第7章 地質がつくる摩訶不思議な絶景
51 美しい風景の裏側には地質がある 「地質と観光 ・ ジオパーク」
52 地質は地形、植生、風景、人間社会の「基礎」 「地質が表すもの」
53 マグマが冷却されてできた名勝 「柱状節理」
54 海岸の地形に刻まれた巨大地震 「見物海岸」
55 地層が作る風景の代表作、大小の縞模様 「ミクロから巨大なものまで」
56 流れの方向がわかる堆積構造 「カレントリップル」
57 日本最長の断層は九州東部から関東まで 「中央構造線」
58 フォッサマグナ 「日本列島形成時の非常に深い基盤の凹み」

第8章 海洋にも地質図がある
59 地震の起きるところ、火山のできるところ 「プレート大地形」
60 海を理解して上手につかっていくために 「音波で海底下を見る」
61 ワイヤー1本で海底の試料を採取する 「海底の地層を採る」
62 地磁気は日本列島の形成史を記録する 「地磁気と重力を測る」
63 大陸棚の延伸 「EEZについて」
64 突発的現象による堆積で地層は不連続だらけ 「イベント堆積物」
65 環境悪化と気候変動によるサンゴ礁の衰退 「サンゴ礁とCO2」

【コラム】
●地質の年代を決める
●地名や人の名前が付いた化石がある
●様々な地質図
●災害研究で地質を研究するわけ
●鉱物資源になる化石
●県の石、国の石
●台地と低地…坂と崖の風景
●地質から学ぶこれからのこと
nice!(0) 
共通テーマ:

nice! 0