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*身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導」水口 慶高著 文光堂 [医学・健康]


身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導

身体が求める運動とは何か 法則性を活かした運動誘導

  • 作者: 水口 慶高
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: 単行本


合理的で無駄のない動きが「生まれ出づる」よう参考にしてゆきたい

新しい運動理論のようである。著者たちの肩書きに「BiNIリハビリセンター」とあるのでネット検索すると、「バイニーアプローチ 統合的運動生成概念」というページが見つかった。独自の身体・運動理論をベースにリハビリテーションを実践してきた方々なのであろう。ただ、本書中では、それにとどまらずスポーツへの適用も示されていて興味深い。運動の主体が障害者であろうが健常者であろうが身体の構造は共通であるから、構築された理論はいかにでも運用できるにちがいない。そして、その理論に相当するのが「統合的運動生成概念」なるもので、生体力学と神経科学の知見に基づくものであるのだという。

本書中、「運動は作るものではなく、生まれ出づるもの」、「紡がれ続ける」ものという表現がなされている。著者らに言わせると、「姿勢も運動である」ということになる。身体は胎内にいるときから、一度たりとも止まることなく運動し続け、動いていないようにみえても、体の中の各器官は営みを止めることなく継続し続け、心臓は動き血流を還流させ、骨格筋も状態を変化させ、呼吸運動は体幹の形状を大きく変化させ、よって身体は動きを止めることなく運動し、たとえ眠っていても身体重心位置は変化している。したがって、姿勢も運動である。姿勢の連続も運動である・・とある。そして、その運動の主体が脳・意識というより、身体そのものによる時、身体の「形と仕組みが動きを作」り、身体の選んだ運動こそがたいへん合理的なものとなるのだという。

評者は、運動科学研究所の高岡英夫氏や『動く骨』の著者:栢野忠夫氏の身体理論に親しんできたが、それらを(より科学的なものとして)補完する医学書として読ませてもらった。「腹圧調整をつかさどる先行随伴性姿勢調節という脳幹システム」など興味深く紹介されている。より合理的で無駄のない動きが「生まれ出づる」よう参考にしてゆきたい。

2018年3月24日にレビュー

究極の身体 (講談社+α文庫)

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  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/20
  • メディア: 文庫



動く骨(こつ) 手眼足編―重力と調和した動きを究める

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  • 作者: 栢野 忠夫
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガシン社
  • 発売日: 2016/03/01
  • メディア: 単行本



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