SSブログ

『実践・快老生活ーー知的で幸福な生活へのレポート』 渡部昇一著 PHP新書


実践・快老生活 (PHP新書)

実践・快老生活 (PHP新書)

  • 作者: 渡部 昇一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/10/15
  • メディア: 新書


「現在の私が到達しえた・・『快き老いの生活』の方法について」の率直なレポート

登山で、頂に到達できた人のみが、真に登頂の思いを語ることができるにちがいない。それが、高所であれば高所であるほど、その語りには価値がある。

著者は、86歳。人生の高所にいる。本書で、その思いを記す。高齢社会の今日、同年齢の方々は、山ほどいる。しかし、ソコでの思いを記すという点で、自分の過去の著作を引き合いに出し、比較しながら語ることのできる人がどれほどいるだろうか。本書では、著者46歳の『知的生き方の方法』が引き合いに出され、「そのころには思いもしなかった感慨」がつづられる。「現在の私の感慨は、私が歩んできた道のりの一つの到達点としてのものである」「そこで私は、この本において、現在の私が到達しえた『人生の幸福』についての考え方、そして『快老生活』すなわち、『快き老いの生活』の方法について、率直にレポートしようと思う」と記す。

著者は正直である。品位のある仕方で、「お金」や「健康」について、時に異性への思いの変化について記しもする。その正直さが、掛け値のない『老い』というものを示し、ソコでの著者の生き様が、まだ道の途上にある者たちにとっての教訓、励ましとなる。しかし、著者はそれを教訓として語らない。あくまでも、レポートにすぎない。しかし、86歳の現場でのレポートは、読む者すべての立場年齢に応じて参考にできる。(以下、目次)

第1章 「歳をとる」とはどういうことか 第2章 凡人にとって本当の幸福は「家族」である 第3章 「お金」の賢い殖やし方、使い方 第4章 健康のために大切なこと 第5章 不滅の「修養」を身につけるために 第6章 次なる世界を覗く(宗教・オカルトについて) 第7章 「幸せな日々」のためにやるべきこと あとがき

2017年2月22日にレビュー

僕は頑固な子どもだった

僕は頑固な子どもだった

  • 作者: 日野原 重明
  • 出版社/メーカー: 株式会社ハルメク
  • 発売日: 2016/10/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


つづく部分に「目次の詳細」目次の詳細

第1章 「歳をとる」とはどういうことか 歳をとってみないとわからないことがある、「下流」を杞憂するより自らの足下を固めよ、散歩好きだった私が存分に歩けなくなった、歳をとると自然に矩をこえなくなる、「ああ、漱石はまだ若かったんだなあ」、私小説的な読み物は年寄りには馬鹿馬鹿しい、詩は何歳になっても感動できる、純粋なるエンターテインメントのおもしろみ、何の役にも立たなくても知ること自体が楽しい、理屈や体系から離れてみよう、歳をとっても記憶力は衰えない、物忘れなど憂うなかれ、英詩の全文もどんどん暗記する、「歌詞」を覚えることの効用、継続さえすれば語学の力だって伸びる、脳力は鍛えられると教えてくれた幸田露伴、時代が変わっても進化しない本物を学ぼう、老人の話が役に立つ理由

第2章 凡人にとって本当の幸福は「家族」である 長姉が教えてくれた人生のいちばんの幸福、結婚生活は「障害」か「大正解」か、業績と家庭とは何ら矛盾しない、幸福を手に入れた天才、晩年に孤独だった天才、孫自慢ができなくなった、時を失することなく結婚を奨めよ、結婚という大博打のリスクを低める方法、私の背中を押してくれた家内、「見てみろ。あのおばあさんの幸福そうな顔」、子供のいない人生に手応えはあるか、親の恩は子に送れ、「金婚式」は「結婚式」よりもさらに素晴らしい、家族軽視・独身賛美は「悪魔のささやき」、「悪魔のささやき」を退ける智慧、栄えている社会のよき伝統に学ぶ、家族がなくても「惜福」「分福」「植福」、未来に花開く「福」の種を植える至福

第3章 「お金」の賢い殖やし方、使い方 喜寿で背負った二億円の借金、定年後の気分を左右するのは収入の有無、特待生になれなければ退学、本多静六先生の教えで経済を知った、大富豪からどん底に落ちてもめげず、「天引き貯金法」という偉大な伝統、わが父の「金は天下の回りもの」、なぜ相続税を廃止せねばいけないのか、金持ちへの嫉妬が生んだ大きな悲劇、ハイエクの教えに学ぶ、高橋是清の痛快なる経済論

第4章 健康のために大切なこと 自分を呪っては絶対にいけない、不治の病なら無理に治さないという選択肢も、「虚弱体質」とされていた子供のころ、私の身体にはチーズが合っていた、睡眠・昼寝は健康のもと、呼吸法で生気を横溢させる、「栄養」という視点からのアプローチ、身体を柔軟にして血の流れをよくする、年に二回くらい断食すると調子がいい、クスリも放射線も量の問題、放射線のことは専門医に聞く、自然食品に執着しても必ずしも長生きしない、やはり長生きした人の話を参考にすることだ

第5章 不滅の「修養」を身につけるために 老後こそ「機械的な仕事」を心がけよ、漫然とやってはいけない、わが書斎の「原風景」、高齢者に適しているのは「修養」、「修養」と「教養」の違い、古典への入り口は肩肘張らない道を、「短い名句」が救ってくれる、日本の和歌がしみじみとわかる、和歌や俳句から得る思わぬ気づき、詩から歴史を学ぶ

第6章 次なる世界を覗くーー宗教・オカルトについて 「未知なる世界」は存在するか、「神は隠れている」、パスカルの賭けの理論、世界でいちばん進んだ宗教共存、外国人に天皇、神社を理解させる方法、宗教を信じて愚かになるのではいけない、九十五歳を超えると宗教すらいらなくなる

第7章 「幸せな日々」のためにやるべきこと 冷暖房で日々の幸福度は劇的に上がる、「床暖房」は老人の幸せの最たるもの、井戸を掘ったらいい水が出るところに住む、「生前葬」はかけがえのない記憶を残す、遺産相続など案外脆い、この人とまた会えるとはかぎらない、人生の本当の幸せは平凡なところに宿る


nice!(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

トラックバック 0