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『文章が変わる接続語の使い方』 沖森 卓也著 ベレ出版 [日本語・国語学]


文章が変わる接続語の使い方

文章が変わる接続語の使い方

  • 作者: 沖森 卓也
  • 出版社/メーカー: ベレ出版
  • 発売日: 2016/12/13
  • メディア: 単行本


とにかく例文の豊富なことに驚く

本書は、《品詞分類にこだわらずに、事柄をつなぐ働きをする言い方を一括して『接続語』と呼ぶことに》する立場から記されている。それで、指示代名詞の「これ」「それ」「あれ」「どれ」、副詞の「むしろ」、さらに索引をみると《「では」から転じた『じゃ』『じゃあ』》《指示語「それ」を付した『それでは』》など会話語や文語表現など派生した言い回しも取り上げられている。

とにかく例文の豊富なことに驚く。(ちなみに、本書中で「とにかく」は、《「ともかく」に比べて、途中の議論や証明は省くといった、結論を急いで強引に物事を進めようとする主観性の暗示があります》と解説されている。強引でスイマセン・・)。

「ああ、こういう言い回し、使い方もあった」と思い出す意味でも、一度通読しておくのはいいことに思う。そして、文章作成やプレゼンテーションの準備に際して、辞書として引くにもたいへん有用に思う。

著者は、接続語を4つの型、全体で18に分類する。

1 展開型(後文に続ける)

*前後で矛盾しない内容を述べる
条件を仮に設定して述べる(仮定)「そうすれば」「そうすると」
順当な帰結を述べる(帰結)「すると」「それであれば」
原因を示して結果を述べる(因果)「だから」「「それで」

*前後で矛盾する内容を述べる(逆接)「けれども」「ところが」

*物事の進行するようすを述べる
別の事柄を重ね加えて述べる(累加)「それから」「それに」
物事が続いて起こるようすを述べる(継起)「そこで」「それで」

*前文をまとめる
出来事を総括して後に続ける(経緯)「こうして」「それでは」
すでに決まっている結論を述べる(規定)「いずれにせよ」

2 列挙型(前文と同等の内容を続ける)

*同種の事柄を並べる
対等の関係で並べて述べる(並立)「および」「ならびに」
どれかが該当するように述べる(選択)「または」「もしくは」
同じ内容を別の言い方で言い換える(換言)「すなわち」「要するに」
実例やたとえを用いる(例示)「たとえば」「言うならば」

*対比・比較して述べる(比較)「一方」「これに対して」
*順序立てて並べる(順序)「第一に」「まず」

3 補足型(前文に対して従たる内容を付け加える)

*条件や例外を述べる(制限)「ただし」「なお」
*関連する事柄を付け加える(補足)「もちろん」「ついでながら」
*根拠を後で述べる(根拠)「なぜなら」「それというのも」

4 転換型(前文とは別の話題を述べる)

*別の話題に移る(転換)「ところで」「さて」

2017年2月17日にレビュー

「接続詞」の技術

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  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 実務教育出版
  • 発売日: 2016/07/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



日本語全史 (ちくま新書)

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  • 作者: 沖森卓也
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/04/28
  • メディア: Kindle版



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