『新聞大学』外山 滋比古著 『天才の勉強術』木原武一著 [読書法・術]
購読数・減をひたすら辿っている新聞業界から見れば、購読数・増への強力なテコ入れがなされたようなものだろう。実際そうなるかどうかは知らないが、外山 滋比古著『新聞大学』は、新聞を用いての「勉強のすすめ」である。
『社説』を読むことを勧める論議が興味深い。図書館から借り受けたものを、本日返却したので、記憶で記しているのだが・・、「日本人の読書好きといってもそれは情緒的な文章を好むものであって、知的なものではない。要するに「文学」が好きということである。ちょっと難しい知的な文章は、すぐに諦めて放り出す。それでは、本当の知的な世界には入れない。入るための一つの方法として『社説』を読むことを勧める・・」という内容だ(ったと思う)。
その論議のなかで、さらに興味深く思ったのは、読んでいて難しく思える部分は声にだしてみるよう勧めていたところだ。(これも、以下の事柄との関係で、勝手にそう理解しているだけかもしれないので、興味のある方は、直接、書籍をご覧ください)。最近読んだ渡部昇一著『知的読書の技術』のなかで、理解不分明な箇所を声にだしてみるといいと勧められていたのを思い出した。実践してみようと思ったしだいである。
さきほど、風呂に入るに際して、なにを読もうかと書棚から引っ張り出したのが『天才の勉強術』。昨日、更新した記事がそういえば『世界天才紀行』であったと湯船に入ってから気づいた。やはり、意識下の作用が、本人を越えたところで、選択に関与しているのだろう。
その中で『チャップリン』の章を読んだ。木原さんは(「読書家だった」の見出し部分で)次のように記す。
「チャップリンにとって、観客を笑わせるだけでなく、何かシリアスなものを感じさせる映画をつくるためには、本から学ぶということも必要だったのである。ショーペンハウアーやニーチェやエマソンやフロイトが、彼の映画にどう役立ったかなどということについては何とも言えないが、もし、彼が文学や哲学にまったく関心がなかったら、彼の映画はただ笑いだけの底の浅いものになっていたにちがいない。チャップリンとほぼ同じ時代に活躍していたバスター・キートンやマルクス兄弟などの喜劇俳優がドタバタのお笑い映画以上のものをつくれなかったのは、チャップリンのような『勉強』が欠けていたからではなかろうか」。
それから、チャップリンが、シリアスな作品を創作したために、(マッカーシズムとの関係で)アメリカを追放された記述がつづく。最近、おなじ時代に、言論弾圧を受けたトランボの評伝を読んだが、チャップリンは、「ハリウッドに最も嫌われた男:トランボ」どころではない。それ以上である。そのように、曲がった時代に真っ直ぐであれたのは、やはり、知的な体力をしっかり強固にもちえたからではなかろうか。ソノ点で、チャップリン同様、文学・哲学書などなど広汎に、そして外山さんの勧めにしたがい新聞『社説』も読まなねばならないようだ。
『ジョニーは戦場へ行った』はトランボによる作品。
以下は映画『トランボ』の原作本。
トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 ハリウッド映画の名作を残した脚本家の伝記小説
- 作者: ブルース・クック
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2016/07/02
- メディア: 単行本
以下もまたトランボによる作品
ローマの休日 日本語字幕版 オードリー・ヘプバーン グレゴリー・ペック FRT-096 [DVD]
- 出版社/メーカー: エー・アール・シー株式会社
- メディア: DVD
以下はトランボの評伝映画(ただし、スペイン語字幕によるもの)
2023-06-09 22:09
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