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『脂肪の歴史』 ミシェル フィリポフ著  原書房 [食生活]


脂肪の歴史 (「食」の図書館)

脂肪の歴史 (「食」の図書館)

  • 作者: ミシェル フィリポフ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/10/21
  • メディア: 単行本


本書で扱われるのは「体内に蓄積される脂肪ではなく、食用脂肪」

著者はタスマニア大学でマスメディアにおけるフード・ポリティクスを研究している。本書は、本年2016年イギリスで出版されたもの。脂肪のイメージは、さまざまだが、グローバルな視点から、その文化・歴史が記されていく。「ウィンディゴ精神病」「「コケイン神話」「ドイツのシュマルツ」「肉のコンフィ」「イタリア料理のラルド:ホワイト・プロシュット」「メイラード反応」「トランス脂肪酸」論議、マーガリンの誕生とその後の展開など興味深い。

序章において、「脂肪が単なる栄養素であるというだけでなく、文化的・象徴的な意味合いも持っている」ことに触れたのち、「本書では体内に蓄積される脂肪ではなく、食用脂肪、すなわち消化される脂肪の使用と意味について考察する。三大栄養素のひとつである脂肪は、地球上の人間が暮らすあらゆる場所で使われ、陸生・海洋動物、種子、果物、ナッツ類などのさまざまな食材の中に、数えきれないほどの形態で存在する。・・略・・ありふれていながら、卓越し、陳腐かといえばさまざまな意味を内包するという、食用油脂の驚くべき正体をさぐっていく」と記される。

目次は、序章 脂肪ーーさまざまなイメージの複合体 第1章 権力と特権ーー脂肪の歴史(高い栄養価、権力の象徴、古代の脂肪、中世の脂肪、料理法の変化、オート・キュイジーヌ、美食のパラダイス、宗教との関係、キリスト教と脂肪、アジアの宗教と脂肪) 第2章 脂肪はおいしい(防腐剤としての脂肪、重労働を支える「故郷の味」、独特の食感、まろやかな舌ざわり、刺激と「こく」、炒める 揚げる、ファストフード) 第3章 栄養学 対 脂肪(飽和脂肪酸「悪魔」説の誕生、新たな「悪魔」-トランス脂肪酸、不信感、ローカーボ〈低炭水化物)ダイエット、善悪二元論への疑問) 第4章 代替品と本物(マーガリン、ショートニング、「トランス脂肪酸ゼロ」の代替品、「低脂肪」製品の失敗、新たな代替品) 第5章 大衆文化の中の脂肪(児童文学と脂肪、『ピノキオ』『ヘンゼルとグレーテル』『ちびくろサンボ』、ブレア・ラビット、映画と小説の中の脂肪、テレビアニメの中の脂肪、現代美術の中の脂肪、テレビの中の脂肪) 謝辞、訳者あとがき、・・参考文献、レシピ集、注

2016年12月4日にレビュー


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  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/01/27
  • メディア: 単行本



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  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/08/26
  • メディア: 単行本



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