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《 「接続詞」の技術 》 石黒 圭著 実務教育出版 [日本語・国語学]


「接続詞」の技術

「接続詞」の技術

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 実務教育出版
  • 発売日: 2016/07/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


本書はさながら接続詞の「博物館」。接続詞「習熟」の助けとしたい

ぱっと見て、哲学者:野矢茂樹東大教授の著書『論理トレーニング101題』を思い出した。その第1章には、「言葉と言葉の関係において、論理は姿を現わす。文と文の関係、パラグラフとパラグラフの関係、そこに論理展開が現われ、整合性が問われもする。そして言葉と言葉のつながりを明示する言葉が、接続表現である。// それゆえ論理は接続表現に示される」とある。そして、「接続表現を明示する」言葉、接続詞に注意深くあるよう促され、練習問題を解き、トレーニングを積むなかで、論理の力を強化するよう仕向けられる。たいへん人気のある本で、発行後15年経つ今日('16/10/18)でもアマゾンのカテゴリ論理学・現象学のベストセラー 1位は『論理トレーニング101題』である。論理の力が社会的に要求され、論理的でありたいと願う方がたくさんいることの証しだろう。

しかし、そのトレーニング問題(101題)をすべて満了した方はどれほどいるだろうかと思う。当方は、中途挫折したままである。本書は、野矢さんの本に比べれば格段にやさしい。中学生でも、全問挑戦し(25問ほど)、満了できるのではないだろうか。

本書には、接続詞が単なる論理関係を明示するだけのものではなく、発想や表現の幅を広げる役割をもつなどの知見も示されている。それは、前著『文章は接続詞で決まる』(光文社新書)に既述のことかもしれない。それでも、『あとがき』を見ると「(著者自身の)接続詞の研究が進み、前著を書いたころには気づいていなかった接続詞のさまざまな現象を掘り起こすことができ、その成果を本書に反映させることができた」とあるので、前著既読の方も、得られるものは多いように思う。

実際読んでそう思うが、著者の述べるとおり「本書はさながら接続詞の博物館で」ある。「本書をつうじて、ぜひ多様な接続詞の用法に習熟し、これまでとひと味違う、読み手に優しい文章を自在に生みだせる書き手を目指してください」と(『はじめに』に)勧められている。たしかに、接続表現、接続詞に意識的であることによって得られるものは大きい。本書を、座右に置いて「習熟」の助けとしたい。

2016年10月18日にレビュー

論理トレーニング101題

論理トレーニング101題

  • 作者: 野矢 茂樹
  • 出版社/メーカー: 産業図書
  • 発売日: 2001/05/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ)

新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ)

  • 作者: 野矢 茂樹
  • 出版社/メーカー: 産業図書
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 単行本



文章は接続詞で決まる (光文社新書)

文章は接続詞で決まる (光文社新書)

  • 作者: 石黒圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/09/17
  • メディア: 新書


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