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『 原色 石材大事典 :色調、模様、吸水率、強度などがひと目でわかる!』 誠文堂新光社 [建築など]


原色 石材大事典: 色調、模様、吸水率、強度などがひと目でわかる!

原色 石材大事典: 色調、模様、吸水率、強度などがひと目でわかる!

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2016/05/13
  • メディア: 単行本


本書のおかげで、建築物を見る楽しみがひとつ増えた

本書は、日本で流通している建築用石材の大図鑑。大理石・ライムストーン73種、花崗岩103種、砂岩7種、スレート16種、テラゾ16種、歴史的な銘柄24種、合計244種が掲載されている。石材の色調や模様がわかる写真とともに、産出国、みかけ比重、吸水率、圧縮強度などのデータがひと目でわかるようになっている。

なんのことはない、見本帳のようなもので、これから石材を用いて施工をしたいという人が、あれこれと考える楽しみを提供してくれる本だといえる。ただし、「サンプル写真」については注意書きがある。「※ 印刷のため、現物とは色調、模様など異なる場合があります。使用の際は、必ず現物サンプルを確認してください」と、ある。

その点、本書には「実際の施工例」が紹介されている。現物(施工例)を見に行くのが一番実感をつかめるにちがいない。各サンプルの記述は次のようなスタイル。いくつか、引用してみる。

「アウリジーナ フィオリータ」 化石の模様の違いを楽しめる(貝殻化石が多く見受けられるグレー大理石。層により化石が均一でない部分があるが、表情の違いがおもしろい。原産国:イタリア・・施工例(所在地/使用部位):桐生市市民文化会館(群馬県/壁)、長岡赤十字病院(新潟県/壁)・・

「タソス ホワイト」 気品ある大理石のベストセラー(太陽の光を反射してまばゆい輝きを放つ純白の本種は、いまもギリシャの街並みには欠かせない。清潔な白にほのかに浮かぶやさしい斑紋が美しい。産出国:ギリシャ・・施工例:シティ・ホール建設第2期庁舎(群馬県/壁)、JAL本社(東京都/壁、床)・・

「ビアンコ カラーラ」 大理石の代表石種で世界中で使われている(ミケランジェロの彫刻作品「ダビデ像」で使用された。多くの丁場があり、丁場により色調、柄が多種に分かれる。ピンホール、白線、淡黄線が若干混入する。原産国:イタリア・・施工例:群馬県庁舎(群馬県/壁、床)、新生銀行本店(東京都/壁、床)

「ペンテリコン」 透明感のある平行流れの大理石(アテネのパルテノン神殿に使用されている石材として有名。本種の丁場は歴史があり大規模ではあるが、キズが多く原石の生産は停止している。原産国:ギリシャ・・施工例:朝日生命日比谷ビル(東京都/壁)、サンシャイン60(東京都/壁)

「ジュライエロー」 ジュラ紀の砕屑物を封印した肌理を持つ(ジュラ紀の化石が点在するライムストーン。層により濃淡の変化が激しい。日本ではサンプル写真のタイプが好まれ、L層より産出される。原産国:ドイツ・・施工例:群馬県館林美術館(群馬県/床)、東京国立博物館法隆寺宝物館(東京都/壁)

「トラベルチーノ ロマーノ」 トラバーチンの代表石種(ローマの町並みに使われている歴史的な石種である。色調のそろった良材は埋蔵量の枯渇をきたし、生産調整されているため、大型物権の使用時は注意。巣穴が平行に流れ、グレーの帯のない原石が良材。原産国:イタリア・・施工例:東京オペラシティー(東京都/コンサートホール床)、サントリーホール(東京都/床)

「オーロ ガウチョ」 プラタガウチョの表層が酸化したもの(同一丁場であるプラタガウチョの表層部が酸化などによりベージュに変色したもの。丁場、採掘層により色調は異なる。大型物件の対応には原石調達に時間がかかる。産出国:ブラジル・・施工例:ランドマークタワー(神奈川県/外壁)

本書のおかげで、建築物を見る楽しみがひとつ増えた。

2016年8月12日にレビュー

石材の基礎知識 (「月刊石材」別冊シリーズ)

石材の基礎知識 (「月刊石材」別冊シリーズ)

  • 作者: 服部 仁
  • 出版社/メーカー: 石文社
  • 発売日: 2014/04
  • メディア: 単行本



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