『クロムウェル 「神の摂理」を生きる』 小泉徹著 山川出版社 [世界史]
『清教徒(ピューリタン)革命』(へ)の複雑に思える流れが把握しやすく・・・
『ウィキペディア』等で「清教徒(ピューリタン)革命」の項目をみると、錯綜して複雑に思える革命(へ)の流れが、クロムウェルその人と(それほど頻繁に出て来るわけではないものの)「神の摂理」というキーワードによって、よくまとめられ、その大きな流れがつかみやすくなっています。
当時のイングランドの宗教事情、国王(チャールズⅠ)と議会との関係、イングランド・アイルランド・スコットランドの関係が浮き彫りにされています。
また、クロムウェルにまつわる多くの人物について知ることができますし、当時の社会を構成していた階層(ジェントリ、ジェントルマン、ヨーマン等)についても知ることができます。国王を処刑した後、国王も苦労した議会との関係で、護国卿(いわば「君主」)となったクロムウェル自身、苦しみます。その様子もよく知ることができます。
『ブリタニカ国際大百科事典』(1995年第3版)の「クロムウェル」の項目は今井宏氏によるものですが、それと記述の異なる点が多少あります。新知見が反映しているということなのでしょう。
新聞記事大の活字と十分な余白があり、読んでいて楽です。また、注や写真が同一ページに記載されていて、読み通すのも楽でした。用いられている紙が上質でないのは、価格からいってしようがないでしょう。
目次
歴史のなかのクロムウェル
1:革命までのクロムウェル(無名時代/議会人として/アイルランド問題との出会い/内乱の足音)
2:革命のなかのクロムウェル(軍事指揮官クロムウェルの誕生/マーストン・ムアの戦いまで/議会派の分裂/辞退条例と新型軍/ネイズビの戦い/内乱の終結/内乱から革命へ/「提案要綱」と「人民協定」/軍幹部とレヴェラーズ/第二次内乱/国王処刑への道/裁判と処刑)
3:アイルランド、スコットランド侵攻(レヴェらーズとの対決/アイルランド侵攻/スコットランド戦争からウスタの戦いへ/軍事指揮官としてのクロムウェル)
4:安定を求めて(ランプ議会と軍/ランプ議会の解散/聖者議会/統治章典/議会開催まで/最初の議会/軍政官制度/クロムウェルの外交政策/クロムウェルと議会/「謙虚な請願と勧告」)
5:戦争と死(軍との対立/病気と死/クロムウェルとイギリス革命/プロテスタント改革派の理想とイギリス革命/クロムウェルと「古来の国制」/クロムウェルとその時代)
2015年10月7日レビュー
清教徒革命
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%95%99%E5%BE%92%E9%9D%A9%E5%91%BD#.E3.83.98.E3.83.B3.E3.83.AA.E3.83.BC.E3.83.BB.E3.82.AF.E3.83.AD.E3.83.A0.E3.82.A6.E3.82.A7.E3.83.AB.E3.81.AE.E7.B5.B1.E6.B2.BB