SSブログ

抜粋 「図説 呪われたアメリカの歴史」 原書房 [世界史]


図説呪われたアメリカの歴史

図説呪われたアメリカの歴史

  • 作者: キーロン・コノリー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本



(以下、上記書籍の各章のタイトルとそのリード部分を抜粋した)。

はじめに
大陸規模におよぶ大きさの国アメリカ合衆国、こんにちも世界最強の国家でありつづけている。しかし、250年前は存在すらしていなかった。ただ、1776年の独立戦争で「生命・自由・幸福の追求」という理念を公言したはずが、国の成長にはつねに戦争、反乱、人種差別による紛争がつきまとっていた。

第1章 新世界
1492年から1760年代のあいだに、アメリカは孤立した大陸から、ヨーロッパの自由民にとって自由とチャンスを象徴する大陸へと姿を変えた。しかし、先住民、囚人、黒人奴隷にとって、それは悪弊、排除、隷属を意味した。新世界の誕生は血にまみれていた。

第2章 アメリカ独立戦争
1765年、イギリスと税金についてもめたことがふくれあがって戦争となり、やがて、アメリカ合衆国は独立国家として誕生した。しかし、揺籃期の共和社会は自由と平等の理想を掲げたにもかかわらず、その権利は奴隷や先住民にはとどかなかった。

第3章 西へ
戦争や土地購入をへて、アメリカの大きさは19世紀前半で2倍以上になった。しかし、土地が増えても先住民の扱いが改善されたわけではなく、奴隷制度をめぐって南北の亀裂は悪化していった。

第4章 南北戦争
奴隷制度については南北で長年にわたり意見の相違が続いていた。それを考えると、いつまでも暴動が避けられるはずもなく、戦争に発展したことは想像にかたくない。しかし、いざ勃発するときわめて残虐な戦争となり、死者数は2度の世界大戦を合計した数を上まわった。

第5章 自由と開拓前線の消滅
南部の奴隷は解放されたものの、自由は新しいバリアを張っていた。いっぽう、北部では買収や労働者の搾取により産業がにわか景気を迎え、そして、西部は野生の時代が終わりを告げようとしていた。

第6章 新たな時代
第1次世界大戦には参戦しないと決めていたアメリカだったが、1918年にはアメリカ軍がヨーロッパの塹壕で戦っていた。アメリカは産業のにわか景気によって優位な立場を手に入れ、禁酒法のおかげでギャングがはびこった。そして、1929年、バブルが弾けた。

第7章 第2次世界大戦
1939年、ヨーロッパで第2次世界大戦が勃発したときアメリカは中立を宣言していたが、わずか数年で、世界史上もっとも悲惨な戦いにまきこまれただけでなく、戦争に決着をつけなければならなかった。1945年、アメリカは日本に原子爆弾を投下し、核戦争の幕開けを予期させた。

第8章 冷戦初期
第2次世界大戦はヨーロッパを疲弊させ、戦時中に連合軍が育てた同盟関係はたちまち崩壊した。アメリカ軍は世界中の共産主義拡大に反対し、国内では共産主義者を本物にしろ容疑者にしろかまわず逮捕した。

第9章 公民権運動
南北戦争のあと、アフリカ系アメリカ人全員に完全な公民権があたえられたが、それに続く南部の州法は依然として黒人を二流市民として扱っていた。それからほぼ100年後、公民権運動が暴動や殺害事件を耐えぬき、ようやく隔離や差別が違法となった。

第10章 1960年代
1960年代。激動の10年だった。アメリカはキューバにロシアのミサイル基地があることを発見し、対ソ連戦が一触即発の状況となった。さらに、はかりしれない犠牲を出し、激しい反論をわきたたせ、世界ではじめてテレビ放映された共産主義との戦争にどっぷりとまきこまれていった。ベトナム戦争である。

第11章 不満と復興
1970年代。リチャード・ニクソンはついにアメリカをベトナムから切り離すことに成功したが、ニクソン政権がとった後ろ暗い方法は自身の失脚につながった。さらに、アメリカの諜報活動という邪悪な慣行が暴露された。

第12章 唯一の超大国
冷戦が終結し、ソ連が崩壊すると、アメリカは唯一の超大国となった。しかし、イスラム教テロリズムのターゲットとなり、中東の不安な情勢も重なって、戦争や血まみれの暴動が終わることはなかった。



Bloody History of America: Revolution, Race and War (Bloody Histories)

Bloody History of America: Revolution, Race and War (Bloody Histories)

  • 作者: Kieron Connolly
  • 出版社/メーカー: Amber
  • 発売日: 2017/04/17
  • メディア: ハードカバー



nice!(1) 
共通テーマ:

『図説呪われたアメリカの歴史』 キーロン・コノリー著 原書房 [世界史]


図説呪われたアメリカの歴史

図説呪われたアメリカの歴史

  • 作者: キーロン・コノリー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本


アメリカの根っこにあるもの、そして、現在にも及ぶ影響の数々を知ることができる

フツウのアメリカの歴史の本・教科書といえるものを知らないし読んだこともないので、比較のしようもないが、それでも「呪われた」というほどのモノでもないように思う。だいたい、そもそも、人間の歴史を記述していくと、争い、流血、裏切り・・といったネガティブな内容になるように思う。以前、学習塾で中学生に日本の歴史を教えることになって、あらためて「テキスト」を通読した時の印象も、本書と同じく、人間とは度し難い、どうしようもないものだ・・という思いだった。

本書の「呪われた」と訳出している部分は、“Bloody”である。直訳するなら「血まみれの」「血なまぐさい」といったところだ。人間の歴史に真っ向から向かうなら、おのずと(ネガティブもへちまもなく)「呪われた」内容になる。だから、「血なまぐさい」部分に正面から向かおうとする姿勢その点を、本書において評価できるように思う。

本書では特に、ヨーロッパ人入植後の先住民との関係、また、その後アフリカから連れてきて奴隷とされた人々への処遇、また、銃規制の問題が目を引く。今日のアメリカの根っこにあるもの、そして、現在にも及ぶ影響の数々を知ることができる。「関係」「処遇」というと聞こえがいいが、人種問題の目立たない日本にいては到底理解できない類に思う。

もっとも、以下のような記述もある。日本に関する記述をすこし引用してみる。

「1942年、アメリカがミッドウェー海戦で勝利すると、アメリカ率いる連合軍は太平洋の島々を攻略する長期作戦を開始し、日本軍は激しく反撃した。アメリカ海兵隊は6か月かけてソロモン諸島を占拠したが、ミクロネシアのタラワ島では、1943年、かなりの損失を出した。 / 4500人の日本兵が防備態勢を強化してアメリカ軍の上陸に抵抗しており、76時間以内に1500人以上のアメリカ兵が殺害された。日本軍はほぼ全兵士が最後まで戦いぬき、タラワ島を勝ち取った。そして1200人の朝鮮人労働者を島へつれこみ、島の防衛施設を建設させた。朝鮮人で生き残ったのはわずか129人だった。(第7章「第2次世界大戦」太平洋戦争後半 p159)」

2018年6月18日にレビュー

アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書

アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書

  • 作者: 村田 薫
  • 出版社/メーカー: ジャパンブック
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 単行本



11の国のアメリカ史――分断と相克の400年(上)

11の国のアメリカ史――分断と相克の400年(上)

  • 作者: コリン・ウッダード
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/10/26
  • メディア: 単行本



アメリカ史の真実

アメリカ史の真実

  • 作者: チェスタトン
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2011/09/06
  • メディア: 単行本



nice!(1) 
共通テーマ:

『ビザンツ帝国 生存戦略の一千年』 ジョナサン・ハリス著 白水社 [世界史]


ビザンツ帝国 生存戦略の一千年

ビザンツ帝国 生存戦略の一千年

  • 作者: ジョナサン・ハリス
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2018/01/20
  • メディア: 単行本


良い助っ人を得た気分

本書のタイトルに「生存戦略の1000年」とある。周囲から種々の攻撃を受けつつもにビザンツ帝国は1000年もちこたえた。キリスト教における希望として「千年王国(至福千年)」というものがある。復活したキリストが王また祭司として1000年間統治し、アダムとエバが人類にもたらした罪と死、その他もろもろの害悪を全世界から一掃するための期間である。しかし、いまだ、始まっていない。それを念頭に「千年」を宣言したのが、ヒトラーだ。だが、12年で終わりをむかえ、本人は自殺した。それゆえ実際に、「千年」つづいたビザンツ帝国は、たいしたものである。その続いた理由、「生存戦略」が本書に記されている。以下、引用してみる。

〈1930年代にドイツで権力を握った体制は、千年続くと宣言していたが、たった12年しか続かなかった。対照的にビザンツ帝国は千年の偉業を成し遂げた。それが可能だったのは、生まれつつあるビザンツの宗教や文化には確かに偏狭さがみられたものの、その一方で、住民の想像をかき立て、忠誠を生み出し、外部の者から畏敬や賛嘆を引き出すような別の要因ーーこのあとの苦難の時代にきわめて有効だと判明することになる要因ーーがあったからである。千年の偉業がどのようにして成し遂げられたのか明らかにするには、次の4点を指摘するだけでことたりる。第1に、キリスト教は、政治的な指導権と宗教的な指導権を併せ持って国家の頂点に立つ支配者、という概念をビザンツ帝国に持ち込み、これが政治的な安定をもたらした。第2に、キリスト教皇帝権は被支配者に対して、次々と現れる支配者を受容するよう促し、支配者との驚くほど直接的な関係を提供するものであった。第3に、キリスト教は、市民の生活必需品をまかなう公的な支援を提供し、市民の心情や精神を捉える霊的な雰囲気を創り上げた。最期に第4点として、非物質的なもの、精神的なものを目に見える形で表現しようとする、新しい様式の芸術や建築を発展させた。(「第1章 神々の黄昏」p37,8)〉。

本書の「骨」というべき部分は以上である。だが、本書の魅力は、それらを肉づけし「物語る」その方法にある。「訳者あとがき」で井上氏は、「人物を論じつつ時代を語る」点、「さまざまな逸話を楽しみながらビザンツ帝国の歴史がわかる」点を、その魅力としてあげている。

また、著者の「思い入れ」「個人的見解が随所で表明されている」ことも魅力であるにちがいない。〈たとえば、コンスタンティノス5世。聖像崇拝を禁止し、崇拝派を迫害したがゆえに、とことん嫌われて「糞」というあだ名まで頂戴した皇帝である。著者はこの皇帝に少なからぬ思い入れがあるようで、「もっとも偉大な皇帝」に対するビザンツ人の扱いに強い遺憾の意を表している〉。たんなる事実の羅列、陳述では読む元気も失せるというものであるが、〈概説書でありながら著者の肉声が聞こえるような叙述〉が、〈面白く、訳しながら大きく頷くことがたびたびあった〉とも井上氏は記している。

評者にとって世界史のなかでも事象が錯綜しもっとも苦手とする部分だけに、本書は良い助っ人を得た気分である。

2018年4月6日にレビュー

詳説世界史研究

詳説世界史研究

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2017/12/03
  • メディア: 単行本



時代と流れで覚える! 世界史B用語 (シグマベスト)

時代と流れで覚える! 世界史B用語 (シグマベスト)

  • 作者: 相田 知史
  • 出版社/メーカー: 文英堂
  • 発売日: 2016/03/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(1) 
共通テーマ:

『失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断(ビジュアル讀本)』日経ナショナルジオグラフィック社 [世界史]


失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断 (ビジュアル讀本)

失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断 (ビジュアル讀本)

  • 作者: ステファン・ウェイア
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2018/01/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


いかにも「・・・協会」の本

「ナショナル・ジオグラフィック」は、優秀な写真家を多数擁する世界的な出版社と思っていたが、「協会」であって「世界有数の非営利の科学・教育団体」であることを本書をとおしはじめて知った。巻末・奥付のところに〈1888年に「地理知識の普及と振興」をめざして設立され」とある。

https://bookend.blog.ss-blog.jp/2023-06-30

いかにも本書は、「協会」の出しそうな本である。「参考図書など」として先ず紹介されているのは、「熱心に歴史を学ぼうとする人々に最も役立つ書籍を1冊挙げるとすれば、優れた歴史地図帳ということになるだろう。ベストはおそらくThe Times Completely History of the World(2015年刊)で、これを備えておけば、まず間違いない」などとある。

「目次」を以下にすべて記すが、目次タイトルの次に年代が示され、人物(主役)、結果、失敗と3段に分かたれた部分には、簡潔に1行でまとめられている。たとえば、『アダムとイブ、禁断の木の実を口にする』では、「人物:アダムとイブ / 結果:原罪 / 失敗:軽率な行動により、人類の本質的愚行の嚆矢となる」と、ある。さらに、詳しい説明がつづき、「DNA解析によって、人類共通の祖先と目される2人の人間の存在が突き止められた。すべての女性は母親からミトコンドリアDNAを受け継ぐ・・」という科学的な記述もある。さらに、ギリシャ神話の「パンドラの壷」が「似た物語」として紹介され、そしてさらには、「エデンの園」の場所についての地理学的指摘がなされる。「トルコのアナトリアにあったと考えられている。」が、一つの説としてキャラウェイという人物の「人類発祥の地はフロリダを流れるアパラチコラ川の河岸」というのも紹介される。「4つに分かれる河系は世界中で」そこにしかないのだそうである。だいぶあやしい話しだが、お話しとしては面白い。

この本からはただ一つのことだけ学べば良いようである。ジョージ・サンタヤーナの名言が「序章」の最後に引用されている。「過去を学ばない者は、必ずや同じ過ちを繰り返す」だそうである。これだけ、賢いと思われる者たちの愚かな決定を読めば、少しは自分の歩みを慎もうという気になるのは確かである。(以下、「目次」)

アダムとイブ、禁断の木の実を口にする / パリスがメネラオスの美人妻をさらう / ハンニバル、軍勢を率いてアルプスを越える / クレオパトラ、アントニウスと手を結ぶ / 皇帝ネロとローマの大火 / バイキングの探検家、グリーンランドに入植 / 教皇シルウェステル2世と世界の終わり / アレクサンデル3世とプレスター・ジョンの探索 / ポジェブラト、欧州統合のアイデアを各国に売り込む / モンステマ2世、スペイン人侵略者と歓迎する / ヨハン・デ・ウィット、マンハッタン島を手放す / ノース卿、ボストン茶会事件で米国を失う / ナポレオン、モスクワを前に翻意する / 戦争省、ナイチンゲールの邪魔をする / インド陸軍、牛脂をめぐって反乱 / オースティン、オーストラリアにウサギを放つ / カスター将軍とリトルビッグホーンの惨劇 / ベルギー王レオポルドとアフリカの分割 / ニコライとアレクサンドラ、怪僧ラスプーチンを狂信 / タイタニック号に積まれたイズメイ社長の救命ボート / ガヴリロ・プリンツィプ、サンドイッチヲ買う / ウィンストン・チャーチルとガリポリでの完敗 / 英国司令官ヘイグ、ソンム川で作戦を変更せず / フランス軍、マジノ要塞 / チャーチルの描いた国境線、今日まで中東紛争の火種に / 20世紀最悪の暴君 スターリンと粛清 / 日本軍の奇襲攻撃とシンガポールの陥落 / 原因は旱ばつにあらず ベンガルの米飢饉 / 不毛の土地に種をまく 悲惨な落花生計画 / 人間をモルモットにしたマラリンガでの核実験 / 無能の宰相イーデンとスエズ動乱の大失敗 / グリューネンタール社、新薬サリドマイドを発売する / ワクチンとエイズと、コンゴのチンパンジー / マクナマラ国防長官がベトナムに撒いた枯葉剤 / マーフィーの法則と抜けていたハイフン / ナウルの鳥の糞と欲に目がくらんだ島民 / ユニオン・カーバイド社、ボパール工場の経費削減 / 出版王マクスウェル、年金基金を盗む / ソ連、チェルノブイリで軽率に試験を行う / CIA、ムジャヒディーンに武器を提供する / 宝石商ラトナー、うっかり商売の秘密を暴露 / バングラデシュの洪水と東インド会社の森林破壊 / ロッキード・マーティン社、数字の確認を2度も怠る / 起きなかった2000年問題、必要なかった備え / ムガベ大統領、ジンバブエの大地を接収 / ずる賢いエンロン社、数字をいじる / 津波観測センサ、インド洋に設置されず / 参考図書など / 索引

2018年3月17日にレビュー

風景を極める (ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方)

風景を極める (ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方)

  • 作者: ブレンダ・サープ
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2018/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(0) 
共通テーマ:

*ノーベル賞117年の記録』 山川出版 [世界史]


ノーベル賞117年の記録

ノーベル賞117年の記録

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2017/12/03
  • メディア: 単行本


人類の歴史に大きく貢献したとされる人々とその仕事を見渡すことのできる書籍

「ノーベル賞の基礎」と題して、「ノーベルの遺言と賞創設」、「ノーベル財団と基金運用」、「受賞者はこうして決まる」という解説ののちに、1901(明示34)年の第1回から2017年までが取り扱われ、日本人が受賞した年は2ページ、それ以外は1ページを用いている。年度ごとに各賞の受賞者名が列挙され、その年の出来事が簡単に示される。各賞受賞者のうち特定の人物・賞については解説が加えられる。それは目次のタイトルに明らかにされている。たとえば、〈1970年 文学賞 政治に翻弄された正統派ロシア文学の継承者[ソルジェニーツィン]〉と目次にあり、そのページには、ソルジェニーツィンが写真入りで紹介され解説が加えられている。多色刷りで写真・図版も多い。人類の歴史に大きく貢献したとされる人々とその仕事を見渡すことのできる書籍である。

2018年2月7日にレビュー

ノーベル賞の舞台裏 (ちくま新書)

ノーベル賞の舞台裏 (ちくま新書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/11/08
  • メディア: 新書



ノーベル賞の真実: いま明かされる選考の裏面史

ノーベル賞の真実: いま明かされる選考の裏面史

  • 作者: E. Norrby
  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: -



nice!(1) 
共通テーマ:

『ラインの伝説―ヨーロッパの父なる河、騎士と古城の綺譚集成』 吾孫子 豊著 八坂書房 [世界史]


ラインの伝説―ヨーロッパの父なる河、騎士と古城の綺譚集成

ラインの伝説―ヨーロッパの父なる河、騎士と古城の綺譚集成

  • 作者: 吾孫子 豊
  • 出版社/メーカー: 八坂書房
  • 発売日: 2017/01
  • メディア: 単行本


ライン河をめぐる諸都市の歴史の真相(深層)を理解できる

ライン河の源流地域から河口まで、川をくだりながら各地域、都市にまつわる伝説を紹介する本。昭和40年に刊行された本の復刊。著者による「序」は、1964年10月1日付け、となっている。

原著はウィルヘルム・ルーラントが集めた伝説集。1923年のドイツ旅行時、著者の父(大審院判事:我孫子勝)が、買ってきた文学書の中の一冊。「両三年前ふとした機会からこれを読み始めたところ、おもしろくてたまらず、知らず知らずの間に三百数十頁を読み通してしまった。そしてこの伝説集を読んでいる間に、いろいろな思い出や空想によってその楽しさはますます深さを加えるのであった。目まぐるしく、時には息苦しくさえある現実世界の生活に疲れた人々に、しばらくの間でもこのような清純な浪漫的な物語によって、少年時代の夢をもう一度思い起こしていただけたらと思ったので、それらの物語の翻訳を中心に、わかりにくいかと思われる点にはある程度説明を加えてまとめたものを、国鉄のレクリエーション機関紙に連続読物として掲載させていただいたところ、意外の高評で、有志の皆さんがこれを出版できるように運んで下さった」と、翻訳・出版のいきさつが記されている。

著者はいう。「一つ一つの話の中には面白いものもあれば、つまらないものもある。またドイツの中世以前の歴史的背景を良く知っていなければ理解しにくいようなものもある。しかし、ともかくも河の流れに沿って下って行くように配列された昔の物語を一つ一つ、いろいろと想像をたくましくしながら読んでいくことは、少なくともわたしにとってはたいへん楽しいことであった」。

本書をとおしてライン川をめぐる諸都市の歴史の真相(深層)を理解できるように思った。また、ワーグナーの歌劇などを理解するうえでも役立つように思った。実際、本書中には、ゲルマンの最高神:ウォータンやニーベルンゲン伝説のジークフリート、ブリュンヒルデ姫など登場し、期待をそこなうものではなかった。挿絵・写真も多数(巻頭には色刷り8ページ)用意され、索引もある。ドイツ・旅行に関心をお持ちの方は、出かける前に通読しておくと、旅行の味わいを深くすることができるにちがいない。

目次

第Ⅰ部 ラインの源流 (サン・ゴタールからボーデン湖まで)
第Ⅱ部 上部ライン地域 (バーゼルからハイデルベルクまで)
第Ⅲ部 ラインの中流、伝説の山河 (ウォルムスからケルンまで)
第Ⅳ部 周辺の渓谷および丘陵地帯 (タウヌス連山からベルク地方まで)
第Ⅴ部 ライン下流地域 (クサンテンからザイデル海まで)

2017年4月14日にレビュー


ライン河―ヨーロッパ史の動脈 (岩波新書)

ライン河―ヨーロッパ史の動脈 (岩波新書)

  • 作者: 加藤 雅彦
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1999/10/20
  • メディア: 新書



ライン河の文化史―ドイツの父なる河 (講談社学術文庫)

ライン河の文化史―ドイツの父なる河 (講談社学術文庫)

  • 作者: 小塩 節
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/08
  • メディア: 文庫



ライン河―流域の文学と文化

ライン河―流域の文学と文化

  • 作者: 丹下 和彦
  • 出版社/メーカー: 晃洋書房
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『国際法で読み解く世界史の真実』 倉山 満著 PHP新書 [世界史]


国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書)

  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/11/16
  • メディア: 新書


国際法のめっぽうオモシロイ教科書と言っていいように思う

『国際法で読み解く世界史の真実』という本のタイトルを、当初たいへん胡散臭く感じた。「・・・の真実」というたぐいの本は、その実、たいへん不・真実であったりする。それに、バーっとページをめくって見たところ、国際連盟の立役者ウッドロー・ウィルソンを国際法を破壊した人物のように扱ってもいる。それで、常識人(当方のこと)としては、いよいよ胡散臭く思ったのである。国際法の権威と称する方々が、この本をどのように評価しているのか、つまりアカデミックな見地からいってマトモな本なのか確認したい衝動を覚えるほどだった。

それが、読みはじめると、めっぽうオモシロイ。それが「真実」かどうかは知らないが、少なくとも、本書のなかで記述されている内容は、本書のなかで整合性があるように思われる。要するに、信頼していいように思う。《「ウェストファリア条約」の紹介から始めない(国際法の)教科書はまがい物と思ってください》とあるが、その通り、「ウェストファリア条約」から始めてもいる。つまるところ本書は、国際法のめっぽうオモシロイ教科書といっていいのだろう。

今日の諸国家のふるまいが、国際法の理解の仕方を反映していることが示される。国際法の生い立ち、展開、その歴史的側面も示される。ヨーロッパ法とも呼ばれる国際法を盾に、列強がアジアの非文明国に進出し、支配下に置いてきたこと。そうした中、幕末日本が締結した不平等条約を撤廃するため、明治新政府が欧米列強と「対等」な立場を獲得し、文明国として扱われるため、「国際法」を盾にどのような闘いをしたのか。片や、国際法を理解しなかった朝鮮、清国はどう対応したか。そのチガイを比較しつつ示される記述は興味深い。そして、なによりも、現代・現在の日本の外交のありようが、マトモかどうかの判断もできる。その判断がマトモかどうかは、本書の記述が「真実」かどうかにかかっているが、どうも評者には「真実」のように思える。

日露戦争でバルチック艦隊を相手に勝利した東郷平八郎元帥のことを、海軍の面々は「東郷ハガネ」という商標をもじって「東郷バカね」と言っていたと阿川裕之著『井上成美』に出ていたと思う。さらに井上が、江田島の海軍兵学校長時代、東郷の事績を調べさせて報告させ、たいした人物ではない・・と悟らせたというような話も読んだ。が、対露戦争以前、日清戦争に向う時期、清国艦船と行動している英国商船を、国際法を遵守しつつも(清の武器運搬に協力したことを理由に)撃沈し、乗っていた英国人は保護したことで、英国の国際法の権威から賞賛されていたなどの情報も本書で知った。外に、陸奥宗光、小村寿太郎などへの記述もある。それらを読むと、誇らしい気分にならないでもない。

国家として見做される要件、主権の意味、国際法は強制法ではなく合意法であり、世界政府が存在しない以上、国際社会は、仁義で動くヤクザの世界に等しい・・など、目からウロコが落ちるような話にこと欠かない。本書が、国際法の教科書として、アカデミックな見地からどう評価されているかは知らない。それでも、読んでオモシロイ本であることは保証できる。

2017年3月21日にレビュー

井上成美 (新潮文庫)

井上成美 (新潮文庫)

  • 作者: 阿川 弘之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1992/07/29
  • メディア: 文庫



nice!(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『図説 金の文化史』レベッカ・ゾラック著 原書房 [世界史]


図説 金の文化史

図説 金の文化史

  • 作者: レベッカ ゾラック
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/11/11
  • メディア: 単行本


黄金をめぐる広汎な話題がめまいがするほど

本書は、英国Reaktion Books から刊行されている The Earth Seriesの一冊。著者レベッカ・ゾラックは、米国ノースウェスタン大学美術史教授。

序章『金を求めて』は、次のように書き起こされる。「金は文明が始まった当初から人々を魅了してきた」。そして、以下の問いが立てられる。「物質としての金には、私たち人間に長く支持されるだけの何かが備わっているのだろうか。なぜ私たちはそれほど遠くまで旅をし、それほど苦労してまでも金を手に入れようとするのだろうか」「なぜ人間は金を追い求めるのだろうか。その飽くなき欲望が突きつけてくるのは、ぞもそも価値とは何なのか、意味とは何なのか」。

著者はいう。「本書は金の包括的な歴史を記したものではない。むしろ、歴史や人間の想像力において、金が果たしてきたさまざまな役割を探究しようとするものだ。実際、金の果たしてきた役割は多岐にわたるため、ひとつの観点にしぼってとらえるのは難しい。本書では、ときに対立する金の要素を明らかにしながら、欲望の実体としての金の歴史を掘り下げていく。流れとしては、まず金がどのような目的で用いられてきたかを分類し、つぎにそれがどのような影響を与え、どのようなものを形作ってきたかを全6章に分けて解説する。具体的には、身につけるための金、宗教における金、貨幣としての金、芸術の媒体としての金、科学における金、そして神話や現実における金をめぐる多くの危険といったテーマで、それぞれ詳しく検証する」。

元素としての金の特徴、金鉱のある場所、採掘方法、今日まで採掘した金の総量(17万6000トン、各辺の長さが20メートル超の立方体になる)、金をめぐる神話・伝説、「イングランド女王エリザベスⅠ世の友人(おそらく愛人)」であるウォルター・ローリー卿のギアナ遠征隊、インカ帝国最後の王アタワルパとフランシスコ・ピサロのこと、古代ヌビアにおける金の採掘とエジプトの関係、大航海時代の立役者:ポルトガルのエンリケ航海王子と西アフリカの黄金海岸のこと(さらには「黒い金ー奴隷ーギニアが差し出せるもっとも魅力的な積み荷」)のこと、金の黄色い色合いとアインシュタインの相対論のこと、「カラット」は「小さな角」を意味するギリシャ語(重量の単位として用いられたイナゴマメの実)に由来すること・・が『序章』に紹介される。

文化“史”として過去のことが示されるだけでなく、今日的情報も加えられる。金採掘のために1960年代以後シアン化物によるヒープ・リーチングという科学的プロセスが加わり「環境へのリスクはさらに高まった」という。「結婚指輪ひとつ分の金を抽出するために、20トンもの(死をもたらす)廃棄物が生み出されるという」。その点で、ある採掘会社の年次総会で抗議する人々の写真も出ている。そして、本書巻末には《環境破壊や人命の犠牲といった代償を本質的に招いているのは、金を身につけたいという私たちの飽くなき欲望なのである。・・略・・「もし金を得るための代償が環境破壊や十代の売春や強制労働という現実なら、金の結婚指輪は愛と信頼のシンボルでも何でもない」》。

黄金をめぐる広汎な話題がめまいがするほど取り上げられて、モノの値打ちについて考えさせられる本だ。

2017年1月16日にレビュー

夕鶴

夕鶴

  • 作者: 木下 順二
  • 出版社/メーカー: 未来社
  • 発売日: 1987/05
  • メディア: 単行本



宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ

宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ

  • 作者: 大貫美鈴
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: Kindle版



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『新疆世界文化遺産図鑑』日本僑報社 [世界史]


新疆世界文化遺産図鑑

新疆世界文化遺産図鑑

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本僑報社
  • 発売日: 2016/04/27
  • メディア: 大型本



立派な写真集、見ごたえ、読みごたえあり

本書は、「中国とカザフスタン、キルギスの3カ国が共同申請して」ユネスコの世界遺産に登録された「シルクロード:長安ー天山回廊の交易路網」のうち、いわゆる「新疆ウイグル自治区」に属する6箇所(キジル千仏洞・スバシ故城・クズルガハ烽火台・交河故城・高昌故城・北庭故城)を取り扱っている。中国で出版され、日本語に翻訳されたもの。写真は迫力があり、秀逸。

「シルクロード:長安ー天山回廊の交易路網」についての解説は次のよう。《シルクロードの東部分に点在する特徴的な遺跡から構成されている。顕著な普遍的価値を持つ、国境を越えた文化ルートの遺跡であり、紀元前2世紀から16世紀にかけ、東アジア文明の中心「中原地域」と中央アジア文明の中心「セミレチエ地域」をつないだシルクロードの一部分である。絹の交易のため古代ユーラシア大陸に開かれた長距離貿易と文化交流の大動脈であり、東西の文明・文化の融合、交流・対話の道となった。中国の長安・洛陽から中央アジアを経て西に向かい、地中海地域にいたり、南に向かっては南アジア大陸に伸び南北約3000kmの範囲に及び、世界の歴史から見ても交流内容が最も豊富で、交通規模が最大の文化ルートであり、中国国内の黄河中流域、河西回廊、天山南北の3つの地域に通じている》。

本書は、「新疆ウイグル自治区成立60周年記念」と銘打って発行されている。ウイグル自治区内の6箇所それぞれに「遺跡の概況」「歴史と沿革」「突出した普遍的価値」「遺跡の保護」に関する記述がある。

(以下、蛇足と言われそうだが) 「歴史と沿革」「遺跡の保護」を見ると、中国(漢、唐)によって支配された過去と現代中国によって保護されてきた歴史が示されている。事実そのとおりなのであろう、そうなのかもしれないが、銘打たれた「新疆ウイグル自治区成立60周年記念」を念頭に置いて、深読みすると・・・、民族独立の動きのあるウイグル(彼らの呼称にしたがえば、「東トルキスタン(共和国)」となるのであろうか)は、中国支配の下に置かれるのが本来妥当であることを、(既成事実として示し)読むものに認知させようとしているかのように思われもする。それは、あくまで、評者の印象(蛇推?)に過ぎないが・・。なにはともあれ、良い遺跡ガイドであることはまちがいない。

2016年7月25日にレビュー

新疆物語―絵本でめぐるシルクロード―

新疆物語―絵本でめぐるシルクロード―

  • 作者: 王麒誠
  • 出版社/メーカー: 日本僑報社
  • 発売日: 2015/06/18
  • メディア: 単行本



東トルキスタン共和国研究―中国のイスラムと民族問題

東トルキスタン共和国研究―中国のイスラムと民族問題

  • 作者: 王 柯
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ著 河出書房新社 [世界史]


サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

  • 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: 単行本


今日まで「唯一生き延びた人類種」である サピエンス(現生人類)に関する壮大な歴史・物語

原題は『Sapiens: A Brief History of Humankind』。

本書は、ホモ・エレクトス、ホモ・ネアンデルターレンシス、ホモ・サピエンスなど複数種あった人類種のうち、今日まで「唯一生き延びた人類種」である サピエンス(現生人類)に関する壮大な歴史・物語。著者はヘブライ大学の歴史家ユヴァル・ノア・ハラリ。すでに「世界40カ国で刊行」され、「各国メディアで大絶賛」されているという。アマゾン(洋書)のカテゴリー(Physical Anthropology )で、現在第1位(7月18日現在)だ。

第1章『唯一生き延びた人類種』は、次のように始まる。《 今からおよそ135億年前、いわゆる「ビッグバン」によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生した。私たちの宇宙の根本を成すこれらの要素の物語を「物理学」という 》。聖書・『創世記』冒頭の「元始(ハジメ)に神 天地を創造(ツク)り給へり」を想起させる文章だ。それにつづく部分も『創世記』1章の創造の六日間についての記述を彷彿とさせる。しかし、本書の記述には、「神」の存在はまったく示唆されていない。この歴史・物語は創造(者)について語るものではなく、進化について語るもののようだ。そこには、聖書に相当匹敵する人類の歴史をみずから構築しようとする著者の壮大な意図、あるいは、パロディーを好む資質が垣間見える。どちらが本当の著者の姿なのであろうか。

物質宇宙同様に突然「ホモ属」数種が登場(誕生)する。そのうちネアンデルタールではなく、他でもないサピエンスが「まったくの偶然によって」認知革命を経験し、言語を獲得する。それを、著者は(エデンの園でアダムとエバの目が啓けるきっかけとなった出来事を示唆する)「知恵の木の突然変異」と呼ぶ。さらには、言語を使って想像上の現実を生み出す能力により、神話など虚構の物語をつくり、さらには物語を改変することによって、現実そのものをも変えうる人間の言語能力と、数百万年経っても変化を期待できない遺伝子DNAの働きとを比較する際に、著者はチンパンジーのアルファオス(ボス)と対照させて「カトリックのアルファオス」を挙げる。写真付きで説明されている「カトリック教会のアルファオス」とは、つまり、ローマ法皇のことだ。

・・・という具合に、聖書文化のお膝元であるヘブライ大学教授でありながら、著者は旧約聖書の神も新約聖書の権威もまったくお構いなしである。単なる知的対象として突きはなして検証し、相対化してしまう。著者は、人類史を再構築する真面目な学者であると同時にパロディスト(parodist)と言えそうだ。

本書は、そんな著者による、たいへんユニークな著作である。著者は、いう。「効力を持つような物語を語るのは楽ではない。難しいのは、物語を語ること自体ではなく、あらゆる人を納得させ、誰からも信じてもらうことだ(p46)」。本書の歴史・物語が、学術的に標準的な(仮)説として、こんにち受容されているかどうか知らないが(検証が必要に思うが)、とにかく読んでオモシロイ本であることはまちがいない。読めば、「世界40カ国で刊行」され、「各国メディアで大絶賛!」の理由がわかる。

2016-07-18にAmazonへレビュー投稿

Sapiens: A Brief History of Humankind

Sapiens: A Brief History of Humankind

  • 作者: Yuval Noah Harari
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 2015/04/30
  • メディア: ペーパーバック



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ: