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『スピリット島の少女―オジブウェー族の一家の物語』 ルイーズ アードリック著 福音館書店 [児童文学]


スピリット島の少女―オジブウェー族の一家の物語 (世界傑作童話シリーズ)

スピリット島の少女―オジブウェー族の一家の物語 (世界傑作童話シリーズ)

  • 作者: ルイーズ アードリック
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2004/09/10
  • メディア: 単行本


「のちのちまでも、あのとき出会ってほんとうによかったと思う本」

ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』をアメリカ開拓時代の家族を物語る「正史」とするならば、白人に追われていくネイティブ・アメリカンの家族の物語である本書は、その「裏面史」といえるかもしれない。2004年に翻訳刊行された本書は、現在、版元の福音館書店に在庫はなく、アマゾン(日本)でも入手・不可で、要するに絶版状態になっているようだが、英語版(1999年刊行)は、現在ペーバーバックになり、ちゃんと新品を入手できる。そればかりか、米国・アマゾンでは、105の読者レビューがあり、ごく最近のレビューも掲載されて、そのうち90%が星5、4の高評価である。ミリオンセラーかどうかは知らないが、継続的に読まれていることは間違いない。日本の場合、自分の国の話ではないことからくる関心の薄さもあって、そういうことになるのだろうか。これが、沖縄やアイヌ民族の話であれば、また違ってくるのだろうか。

かくいう評者も、本書を、図書館の除籍本として入手した。「巡り合わせ」である。著者はネイティブ・アメリカンの子孫で、大人向けの本も上梓し、日本でも翻訳されているが、子供向けの初めての著作が本書だという。著者は「両親や祖父母から聞いた話」を披瀝し、「ばっちゃまの話」として挿入しているのだが、その迫力がすごい。いちど聞いたら忘れられないように思う。作り話であっても、神話的・普遍的無意識レベルから紡ぎだされた話のもつ迫力だ。夏・秋・冬・春と時間の推移のなかで、「オジブウェー族の一家」の生活が綴られる。動物たちも登場する。疫病と死もやってくる。そうした中、子どもたちは成長していく。主人公の少女は、メディシンマンとして成長することになるようだ。少女に語りかけられる古老の言葉が興味深い。「おまえも、それにこたえて、みんなを救った。わしがおまえを見つけたときにはじまった環がこれでつながったんだ」。季節はめぐり、人生も・・・。かくて、評者にも・・・。

翻訳者(宮木陽子)は『あとがき』で、「のちのちまでも、あのとき出会ってほんとうによかったと思う本がこれまでにも何冊かありますが、私にとってこの本はきっとそうなることと思います」「子どもだけでなく、おとなの読者をも魅了する、奥深さとしっとりとした味わいのある作品だと思います」と記している。なるほど、繰りかえし読んでみようという気にさせられる本である。国も言語も時代も異なるが、普遍的で大切なことを物語っているからであろう。

2016年11月8日にレビュー

以下は、米国アマゾンの上記書籍のページとアマゾン日本の洋書のページ、そして翻訳者:宮木陽子氏による新刊

https://www.amazon.com/Birchbark-House-Louise-Erdrich/dp/0786814543


The Birchbark House

The Birchbark House

  • 作者: Louise Erdrich
  • 出版社/メーカー: Disney Book Group
  • 発売日: 2002/06/03
  • メディア: ペーパーバック



ビアトリクス・ポターが愛した庭とその人生―ピーターラビットの絵本の風景

ビアトリクス・ポターが愛した庭とその人生―ピーターラビットの絵本の風景

  • 作者: マルタ・マクドウェル
  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 2016/11
  • メディア: 単行本



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『絵本ものがたりFIND ―見つける・つむぐ・変化させる』 朝倉書店刊 [児童文学]


絵本ものがたりFIND ―見つける・つむぐ・変化させる― (シリーズ〈絵本をめぐる活動〉 2)

絵本ものがたりFIND ―見つける・つむぐ・変化させる― (シリーズ〈絵本をめぐる活動〉 2)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2016/05/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



絵本は e-hon ではなく、A-hon だった。

絵本をそれなりに高く評価してきたつもりでいたが、自分のなかで絵本は過小評価されていなかったかと自問した。絵本は基本的に子ども向けとされているが、それだけに大きな意味をもつということではないか。絵本は、幼少時の価値観ひいては生き方を決めていく力をもつもので、それは個々人の感受性などによって相違するけれども、いずれにしろ、大きな力を発揮するものであるということに、改めて気づかされた。というより、人間の(価値観以前の)認知能力の基礎を築く一端を担っているといっていいことを知らされた。次のような記述がある。

《ピアジェなどの認知発達に関する理論で明らかにされているように、子ども、特に幼児には、動いているものは、非生物であっても人間と同様に命があり意思がある(アニミズム)、頭の中でイメージしたことや考えたことは現実に存在する(実念論)、世界にあるものはすべて人間が作った(人工論)といった、独自の物事の考え方、とらえ方がある。これらの認知的特徴によって、子どもは空想と現実とが混交した世界を生きているといえる。幼児期から児童期にかけて、子どもはこれらの認知的特徴を次第に脱却し、大人と同様の現実的、科学的な思考と言葉を獲得するようになっていく。しかし、ここで重要なことは、これらの特徴を発達期に未熟で一時的なものととらえるのではなく、その特徴がもたらす豊かさやその経験とその後の発達とのつながりに目を向けることである。//「かいじゅうたちのいるところ」に行くための費用を心配する男の子の手紙には、空想を現実的に生き、現実のなかで空想を生きる子どもの姿がある。絵本が描く空想の世界をもとに現実の世界で子どもが展開する物語は、それがたとえ遊びであり、実現不可能な企てであったとしても、子どもにはまぎれもない現実の一部であるといえる。もし我々が子どもの世界を理解し、その傍らにある存在になりたいと望むならば、ここで考えてみるべきことは、その実現可能性以上に、夏休みの旅先の候補に、「かいじゅうたちのいるとところ」を含む世界とそうでない世界は果たしてどちらがより豊かで、より胸を躍らせるものだろうか、ということである(第1章 『子どもが紡ぐ物語』 1・1 「子ども・絵本・物語」 砂上史子 p7)》

本書は、6章からなり、21編の論考と3編のコラムで構成されている。編者のいうように「オリジナリティのある論考ばかりが集められた」といっていいように思う。(以下『目次』)。

第1章 子どもが紡ぐ物語(1.1 子ども・絵本・物語、1.2 遊ぶ子どもー絵本と、絵本で、絵本からー、1.3 父のための物語絵本、1.4 絵本を使用した授業と生まれる物語、コラム1 ものがたりを結ぶ時期〈トキ〉・ほどく時期〈トキ〉) 第2章 視覚から生まれる物語( 2.1 〈見立て〉 視覚が物語りを生み出す、2.2 絵本美術館でつむがれる物語、2.3 文字のない絵本が語るもの、コラム2 妖怪絵本)、第3章 ナンセンス絵本と不条理絵本(3.1 私的ナンセンス絵本の系譜ー長新太を中心にー、3.2 東君平の絵本、3.3 ウンゲラーが絵本に描いたこと、3.4 不条理絵本とは何かー未来への問いかけー)、第4章 変形していく物語(4.1 現代児童文学作品の絵本化をめぐってー絵本になった「八郎」「モモちゃん」「ウーフ」たち、4.2 小学校国語教科書による絵本の教材化とは、4.3 しかけ絵本の「しかけ」を読み解くーロバート・サブダ「不思議の国のアリス」を中心に、4.4 「赤い蝋燭と人魚」の絵本化の地平、コラム3 仏教メディアとしての絵本)、第5章 絵本の翻訳(5.1 実験的絵本の翻訳、5.2 「不思議の国のアリス」の挿絵をめぐってーキャロルとテニルのパラゴーネー、5.3 作者のまなざしと翻訳の役割ーヴァージニア・リー・バートン『せいめいのれきし』改訂版をめぐって)、第6章 絵本で物語るとはどういうことか(6.1 子どもの発達と物語絵本、6.2 芸術としての絵本、6.3 「ものがたり」から生まれる絵本ー宮沢賢治『なめとこ山の熊』を軸としてー) 索引 執筆者紹介

2016年7月24日にレビュー

絵本ビブリオLOVE ―魅力を語る・表現する― (シリーズ〈絵本をめぐる活動〉 1)

絵本ビブリオLOVE ―魅力を語る・表現する― (シリーズ〈絵本をめぐる活動〉 1)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



かいじゅうたちのいるところ

かいじゅうたちのいるところ

  • 作者: モーリス・センダック
  • 出版社/メーカー: 冨山房
  • 発売日: 1975/12/05
  • メディア: 大型本



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「モモ」を読む―シュタイナーの世界観を地下水として / 子安 美知子著(朝日文庫) [児童文学]


「モモ」を読む―シュタイナーの世界観を地下水として (朝日文庫)

「モモ」を読む―シュタイナーの世界観を地下水として (朝日文庫)

  • 作者: 子安 美知子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2023/05/06
  • メディア: 文庫


宗教心が呼び起こされる本?

「この本は、ミヒャエル・エンデ著『モモ』の解説書です。」と言えばそれまでです。ですが、この本は、「解説書」などというものではなく、一つの堂々たる著作であると、私は思います。「押しつけるつもりはありませんが、こんな読み方もできますね。シュタイナーの世界観を通して『モモ』を読むなら、こんな深い精神性が湛えられていることを知ることができますよ」と謙遜に囁きかけるような姿勢で書かれた著作です。

ですが、私には「ルドルフ・シュタイナーの思想」「シュタイナーの世界観」「アントロポゾフィー」などという書名の「専門書」にしたなら、大分難しく、読むのが厄介になりそうな内容を、世界的なベストセラー「モモ」を通して、きわめて平易に説明してくれた、類の無い本が、この著作ではないか、と思えます。

「宇宙の前にあって塵に等しい人間が宇宙の底知れない神秘に触れ、震える思いで宇宙を探ろうとする時の姿勢とは本来こんなものだったのかもしれないな。」「宗教的な修行の原初的なカタチというものは、あるいは、このようにして始まったのかもしれないな。」などと思いつつ読みました。

深読みのし過ぎでしょうか? 皆さんも、どうぞお確かめください。自分の眠っている宗教心が、あるいは、呼び起こされるかもしれません。(尚、日本に於ける「ユング心理学」の泰斗にして先達たる河合隼雄先生の魅力的な「解説」付きです。)

2004年9月8日レビュー


モモ (岩波少年文庫)

モモ (岩波少年文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/07/20
  • メディア: Kindle版



エンデと語る―作品・半生・世界観 (朝日選書)

エンデと語る―作品・半生・世界観 (朝日選書)

  • 作者: 子安 美知子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2023/05/06
  • メディア: 単行本



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ムーミンとトーベ・ヤンソン: 自由を愛した芸術家、その仕事と人生(河出書房新社) [児童文学]


ムーミンとトーベ・ヤンソン: 自由を愛した芸術家、その仕事と人生

ムーミンとトーベ・ヤンソン: 自由を愛した芸術家、その仕事と人生

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/10/15
  • メディア: 単行本



トーベ・ヤンソンの仕事がどのように展開し、世界で受容されていったかを示している。ムーミンの絵本作家としてのみ評者は認知していたが、(挿絵・諷刺)画家、舞台美術、壁画、詩、小説、児童文学、戯曲など多彩な作品を残しているという。本書は、トーベを知り、理解し、その作品群に目を向けるよう促される本である。

トーベの創作活動は幼児から始まる。おまるに座らされているときも絵を描きまくり、7歳の時にはトーベ出版社と記した冊子をつくり、「ちゃんとお金をとって同級生たちに売」り、13歳のときには、「家計を助けるために本を出したいと強く願」い出版社に詩と絵の原稿を送ったという。

評者はムーミンアニメの主題歌を覚えているが、中身をしっかり見た記憶がない。当然、詩や小説など、その他の作品群には触れたこともない。ただ、トーベのイラストを見たときに感じるのは、ムンクの『叫び』に見るような一種の暗さである。それは北欧ならではの文化的なものに根ざすもののように思っていたが、トーベ個人のマイノリティー(言語的、性的)としての立場も関係していることを知った。《ムーミン本初の短編集『ムーミン谷の仲間たち』に収録された9編では、話に登場するキャラクターを通じて、トーベ自身の鬱や押し殺していた怒りが掘り下げられています》という一文もある。

最後の絵本となった『ムーミン谷へのふしぎな旅』で、主人公の少女スサンナを取り巻く旅の風景も「幻想的で不気味」である。そのエンディングについて著者は次のように記す。《トーベはエンディングを「幸せに暮らしました」としませんでしたが、スサンナが家に戻り猫と再会し、これからは人生という冒険で味わう悦びや不確かさをしっかり生きていくだろうと予感させる、言わば読者に委ねる結末になっています》。

先の見えない環境に足を踏み入れていくというのは勇気が要る。そのような中、歩み続けるのには困難が伴う。しかし、考えてみればそれが人生である。ただでさえ大変な人生をトーベはマイノリティーとして生きた。並々ならぬ強さをもった女性であったと言える。評者は、トーベの他の作品群に挑んでみようと思う。その点で、本書巻末にある「日本で出会えるトーベ・ヤンソンのおもな仕事」見開き2ページは助けになる。


ムーミン全集[新版]6 ムーミン谷の仲間たち

ムーミン全集[新版]6 ムーミン谷の仲間たち

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: Kindle版



ムーミン谷へのふしぎな旅 (トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)

ムーミン谷へのふしぎな旅 (トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/07/16
  • メディア: 大型本



彫刻家の娘

彫刻家の娘

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/11/12
  • メディア: 単行本



島暮らしの記録

島暮らしの記録

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1999/07/01
  • メディア: 単行本



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「私のことば体験」松井直著 福音館書店 [児童文学]


私のことば体験 (福音館の単行本)

私のことば体験 (福音館の単行本)

  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2022/09/09
  • メディア: 単行本



著者 松井直は福音館書店で編集者として活躍した方。だが、本書を読んでの印象は、「福音館書店で・・」というより、福音館書店ソノモノのような方である。「福音館というのは、もともとカナダのパーシー・プライスというメソジスト教会の宣教師が北陸伝道のために(金沢に)作った、文書伝道の店」。

著者は同志社大学を卒業してすぐ、出版をはじめたばかりの福音館書店(が、まだ海のものとも山のものともつかない頃)に就職する。本書には幼少時のこと、家族友人のこと、福音館に入社してのち出会った絵本のこと、絵本をともに作った作家、画家たちのことが記される。話題は主に「ことば体験」であるが、同時に「絵」画体験でもある。著者の繊細でふかい感性が伝わってくる。

絵本を多く出版してきた福音館書店だが、本書もまた絵本という印象である。表紙絵といい、挿絵といい、用いている紙の質といい詩情が感じられる。各ページが和紙に描いた絵手紙のようである。担当しているのは安野光雅。

そういえば安野さんお亡くなりになったのに本書は新刊ででているではないかと調べると、2009年から2011年にかけて『母の友』に連載されたものをまとめたものが本書であるという。

目次とともに記されている添え書きや見出しを追っていけば、中身が分かる本である。たとえば「中学時代」という項目には「借り物でなく 自分の声で、ことばで 語られる話は 心に響きます」とある。だが、それだけで終わりにしたくない滋味がある。くりかえし読みたくなる味わいがある。

著者は1926(大正15)年生まれ。御年96歳になられる。「あとがきにかえて」を長女で童話作家の小風さちさんが書いている。それもまた味わいふかい。

松居直
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B1%85%E7%9B%B4


絵本の力

絵本の力

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/05/18
  • メディア: 単行本



絵本とは何か (エディター叢書 6)

絵本とは何か (エディター叢書 6)

  • 作者: 松居 直
  • 出版社/メーカー: 日本エディタースクール出版部
  • 発売日: 1973/12/01
  • メディア: 単行本



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『物語もっと深読み教室 (岩波ジュニア新書)』宮川 健郎著 [児童文学]


物語もっと深読み教室 (岩波ジュニア新書)

物語もっと深読み教室 (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 宮川 健郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/03/20
  • メディア: 新書



昨日、『ブックオフ』で立ち読みしているうちに、一冊全部を読みきってしまった。以下は、備忘録として記すもの。


著書は盛岡出身の友人の学校に招かれ、中・高生を相手に特別講義をする。その内容が本書である。

著者は、物語の作者が、自ら立てた語り手をとおし、どのような視点で創作していったのか、「物語」の内容だけでなく、その語り・叙述の方法を取り上げて「深読み」の方法を示していく。例としては、谷川俊太郎「みみをすます」、漱石『坊ちゃん』、『こころ』、太宰『走れメロス』、鴎外『舞姫』、鏡花『高野聖』、賢治『永訣の朝』などをあげる。さらに、昔話とファンタジーのちがいやその構造についてなど語る。

物語を語るその方法に着目することで、「深読み」が可能になることを示し、さらには、自分の「語り手」をつくって、自分たちを取り巻く世界(現実)を再構成して「物語」をつくるよう促しもする。

「読み」と同時に「創作」も考慮されている点で、石黒圭の《「読む」技術 》を想起した。

著者は、宮城教育大で竹内敏晴の研究室に出入りしていた時期に、谷川俊太郎の「みみをすます」について竹内から啓発を受ける。著者はその点に触れていないが、竹内は(その自伝的著作『ことばが劈(ひら)かれるとき』をみると)耳の疾患をかかえて苦労した時期がある。それで、そのような気付きができたであろうように思った。

【自作を語る第13回 宮川健郎さん(児童文学研究者)】
http://zorotai.honmachihiro.com/?eid=190


ことばが劈(ひら)かれるとき (ちくま文庫)

ことばが劈(ひら)かれるとき (ちくま文庫)

  • 作者: 竹内 敏晴
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1988/01/01
  • メディア: 文庫



「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書




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