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はじめての絵画の歴史 ―「見る」「描く」「撮る」のひみつ [アート]


はじめての絵画の歴史 ―「見る」「描く」「撮る」のひみつ―

はじめての絵画の歴史 ―「見る」「描く」「撮る」のひみつ―

  • 出版社/メーカー: 青幻舎
  • 発売日: 2018/09/01
  • メディア: 大型本



A History of Pictures for Children

A History of Pictures for Children

  • 出版社/メーカー: Thames & Hudson Ltd
  • 発売日: 2018/09/06
  • メディア: ハードカバー



『DEEP LOOKING 想像力を蘇らせる深い観察のガイド』の著者ロジャー・マクドナルド氏が「世の中をディープ・ルッキングするためのお勧めの本としてデヴィッド・ホックニーの『秘密の知識 巨匠も用いた知られざる技術の解明』を紹介していた。それで、まずは子ども向けの本を読んでみようと本書を手にした。

「絵画の歴史」とあるが原題は A History of Pictures for Children である。picture は絵画も示すが写真も意味する。本書は両者をとりあげている。ホックニーはレンズ、鏡が歴史に登場してきたあたりから、絵描きがそれらを活用してきたことを示している。16世紀後半に活躍したカラヴァッジョについて次のように述べる。《ぼくは長い間、カラヴァッジョやほかの芸術家たちがどうして本物そっくりな絵を描くことができたのか、その方法について考えてきた。カラヴァッジョはたぶん、描こうとしている人物(モデル)にアトリエでポーズを取らせ、その姿をカンヴァスに投影して絵を描いたんじゃないかと思う。 / つまりこういうことだ。カラヴァッジョは、強い光が当たる場所ー例えば窓のそばーにモデルを置き、自分自身は小さな穴をあけた壁や仕切りの向こう側にいて、絵を描いた。小さな穴を通して入ってきた光によって、カンヴァスに「像」が投影される。投影された「像」は本物とまったく同じだけど、上下さかさまになっているんだ。ぼくも実際にやってみたけど、その「像」の正確さには本当に驚かされたよ》。そういうわけで、本書の視界には絵画・写真・映画も入ってくる。

著者ホックニーによる「はじめに」を見ると、どうも本書の意図は Pictureそのものの歴史というより、絵を描く技術革新の歴史、それに伴う表現(と同時に「見え方」)の推移の歴史を示しているようだ。以下のようにある。《ぼくたちの周りには、「絵」があふれている。ノートパソコン、携帯電話、雑誌、新聞、本・・。街の中やテレビで「絵」を目にすることもあるだろう。「絵」は美術館や博物館に飾られているし、きみの家の壁にもかかっているかもしれない。ぼくたちは、何かを考え、想像し、世の中をもっと理解しようとするとき、言葉と同じくらい「絵」を使うんだ》中略《この本には、よくある歴史の本に書いてあるようなこと(どんな出来事が、いつどんな順番で起こったか、とか)は書いていない。でも、ちょっとした年表をまとめておいた。これを見れば、昔の芸術家たちがどんな道具を使っていたのか、新しい技術が発明されて、「絵」がどう変わっていったのかがわかるだろう》中略《ぼくたちはみんな、自分なりの見方で「絵」を見ている。いろんな見方ができるのが「絵」のすばらしいところだし、だからこそ、ぼくは「絵」を作り続けているんだ》。

対談形式で、子ども向けのイラストも多用され、文字にはルビも付されている。子どもたちが、世界の多様性を知り、多様な見方が存在することを理解するうえでイイ本であるように思う。

DEEP LOOKING 想像力を蘇らせる深い観察のガイド

DEEP LOOKING 想像力を蘇らせる深い観察のガイド

  • 作者: ロジャーマクドナルド
  • 出版社/メーカー: AIT Press
  • 発売日: 2022/07/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



秘密の知識<普及版>

秘密の知識<普及版>

  • 作者: デイビッド・ホックニー
  • 出版社/メーカー: 青幻舎
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: 単行本



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