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「ケルト神話・伝承事典」木村 正俊 [文化人類学]


ケルト神話・伝承事典

ケルト神話・伝承事典

  • 作者: 木村 正俊
  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2022/06/20
  • メディア: 単行本



序論は「ケルト神話ー民族精神の豊かな伝承」とタイトルされ、「ケルト神話の重要性」「ケルト人とは」「ケルト神話の伝承」「アイルランド神話」「ウェールズ神話」「アーサー王伝説」「ケルト神話の独自性」と論じられます。その後に主要な事典部分、参考文献、あとがき、索引と続きます。

ケルト関連事典には、もっと大きなサイズのものもあるようですので、本書の最大の魅力は「コンパクト」な点かもしれません。コンパクトではありますが、立項された項目を読んで楽しめます。引くだけでなく読めるというのは魅力です。/ ケルトど素人の評者が、通読してそう感じたまでのことですが、ケルト文化のなかで「詩」というものは重要なものだったようです。その一つの項目に「フィリ」があります。以下(どのような説明がなされているかの一例として)引用してみます。

フィリ fili[Ir],file[Ir]
複数形は、フィリズ(filid,filidh)。初期アイルランド社会で、主に王宮に仕えた高位の特権的な詩人、預言者。階層の低い詩人(bard)とは区分された。普通一般の詩人(poet)とは異なるので、誤解してはならない。フィリは詩人であるほかに語り部、歴史家としての任務をもち、職域は広かった。その著作は散文で書かれたが、それらには英雄物語や伝説、歴史記録、王家の系図、地誌などが含まれた。詩人の役割としては、韻律の技法の伝統を保持することに努め、王の功績をほめたたえる称賛詩を多く作った。フィリの詩には鋭い風刺が込められていることがしばしばだったので、フィリは王にとってさえ、恐るべき存在であった。フィリは予言の能力があり、折に触れそれを行使した。/ フィリの階層は7つあり、最上位はオラウ(ollam)〔オラヴとも表記〕であった。オラウの資格を得るには、特別の学校で12年間修業し、350の物語を記憶することが必要であった。

ちなみに「オラウ」の説明は、以下のよう // 英語ではオラヴ(olave,olav)。アイルランドの初期の詩人(フィリ)の7つある階層のうち、最高位の階級。オラウの資格を得るには9年から12年の修行を必要とした。修業期間を通じて、250の主要な物語と100の2次的物語を暗記しなければならなかった。オラウの中で最上位のオラウは「リー・オラウ」あるいは「アルド・オラウ」(「チーフ・オラウ」)と呼ばれる公式の地位に就いた。この地位の保持者は、アイルランドの上王(アルド・リー)の地位と対等の権威を与えられた。

日本とケルト(地球新世紀)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2007-01-02

ケルト巡り

ケルト巡り

  • 作者: 河合隼雄
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2013/03/29
  • メディア: Kindle版



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