『微妙におかしな日本語: ことばの結びつきの正解・不正解』 神永 曉著 草思社 [日本語・国語学]
説明はできないものの、ほとんど・・・
日本語慣用表現の“正”用法を、歴史の中で位置づけようとする本。国語の専門家による“断定的な見解”が示されていない点が特徴といえる。そもそも、そういう傾向の書籍をみて、どんなものかと思ったのが執筆の動機であるという。だから、白黒ハッキリつけないところが本書の持ち味で(とは言っても、結果として、これは使わない方がよい、など記されているのではあるが・・)、その微妙なところの理解を得られるのが、面白いところである。
取りあげられている慣用表現をみていくと、“その説明はできないものの”、正用法の識別がほとんどすべてと言っていいほどできた。ある意味かんたんでもあった。しかし、そこを説明できてはじめてその言葉を知っているということになるのであろう。つまり、本当は知っていないのだと知らされたというわけである。また今日、本書のような書籍が出版されるということは、知らず知らずヘンな表現、もの言いをしている人が大勢いるということを示すものでもあるのだろう。
同様の本であるが、短いコメントのなかにもナルホドの思いをし、また、これは正さねばと多々刺激を受け(啓発され)た本に、東京堂書籍の『勘違い慣用表現の辞典(西谷 裕子著)』がある。本書を、おもしろいと思う方は、ぜひソチラも見て欲しいところ。
2018年5月10日にレビュー