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*記者と権力』 滝鼻 卓雄著  早川書房 [マスメディア]


記者と権力

記者と権力

  • 作者: 滝鼻 卓雄
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/04/20
  • メディア: 単行本


経験からでた考察や人物評が興味深く魅力的

カバー袖には「いまジャーナリストに求められる覚悟とは! 読売新聞東京本社社長、巨人軍オーナーを歴任した著者が、「権力者への取材」「記者クラブ」「匿名報道の是非」「朝日新聞と読売新聞の違い」など、現代ジャーナリズムの最重要テーマに切り込む!」とある。

執筆動機については、「プロの役割を果たせるジャーナリストを目指す若い人たち、将来ジャーナリストを一生の仕事にしたいとこころざしを抱いているもっと若い人たちに向かって、少しでも役に立てばと思い立って、この本を書いた。混迷に陥ってしまった今日のメディアの状況が改善されればという願いもあった。(『あとがき』)」と、ある。

著者自身の「駆け出し」時代、社会部記者、司法担当記者としての経験からでた考察は興味深い。ニュースソースの探し方、つき合い方、関わり方、守り方など、具体的事例が示される。民意を知る上で「個別訪問面接聴取法」の有効性や「記者クラブ」の6つの罪についての記述もある。

登場する人物たちも魅力的だ。弁護士喜多村洋一、「朝日新聞記者の中にあって、私が尊敬する人物」疋田桂一郎・深代淳郎、読売新聞の渡邊恒雄記者、「ミスター特捜」と呼ばれた吉永祐介、「ミスター検察」と言われた伊藤栄樹、「司法界の内外から“ミスター司法行政”と皮肉を込めて呼ばれ」著者が告別式で弔辞をよんだ最高裁長官:矢口洪一など。

2017年6月19日にレビュー

目次

プロローグ

覚書1 塀の上を歩け
覚書2 ディープ・スロート
覚書3 権力者たち
覚書4 駆け出し記者
覚書5 書くことと書かないこと
覚書6 西山事件
覚書7 裏世界の紳士たち
覚書8 なぜ匿名報道なのか
覚書9 朝日と読売
覚書10 記者クラブの功罪
覚書11 民意を知る方法はあるのか(トランプ時代の世論)
覚書12 特捜部、出入り禁止
覚書13 裁判をしない裁判官
あとがき


新聞記者 疋田桂一郎とその仕事 (朝日選書 833)

新聞記者 疋田桂一郎とその仕事 (朝日選書 833)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2007/11/09
  • メディア: 単行本



深代惇郎の天声人語 (朝日文庫)

深代惇郎の天声人語 (朝日文庫)

  • 作者: 深代惇郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2015/09/07
  • メディア: 文庫



渡邉恒雄回顧録 (中公文庫)

渡邉恒雄回顧録 (中公文庫)

  • 作者: 渡邉 恒雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2007/01/01
  • メディア: 文庫



検事総長の回想 (朝日文庫)

検事総長の回想 (朝日文庫)

  • 作者: 伊藤 栄樹
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞
  • 発売日: 1992/01
  • メディア: 文庫



後藤田正晴と矢口洪一: 戦後を作った警察・司法官僚 (ちくま文庫)

後藤田正晴と矢口洪一: 戦後を作った警察・司法官僚 (ちくま文庫)

  • 作者: 御厨 貴
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/07/06
  • メディア: 文庫



田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察「栄光」の裏側

田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察「栄光」の裏側

  • 作者: 村山治
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/07/20
  • メディア: 単行本



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