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『川を歩いて、森へ』 天野礼子 中央公論新社 [エッセイ]


川を歩いて、森へ

川を歩いて、森へ

  • 作者: 天野 礼子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/02/08
  • メディア: 単行本


「オーパ!」

当初、タイトルから推して、ソローの『森の生活』のような静謐な世界に誘うエッセイかと思った。開高健とのつきあいもあるというので、文学的興味から手にしたのだが・・・

「オーパ!」である。開高健に『オーパ!』というブラジルへの釣り紀行があるが、そこには《何事であれ、ブラジル人は驚いたり感嘆したりするとき、「オーパ!」という》という一文があった。本書を読んでの印象は、まさしく「オーパ!」であり、そして「オーパ!」であった。

内容からいえば、著者の半生記といっていい本書だが、読んで思い浮かんできた言葉は、「女・小田実だア!」である。日本の河川3万本を保護していこうとするその行動力には凄いものがある。長良川河口堰反対運動では開高健、C・W・二コルを担ぎだし、林野庁の林業再生では「大阪に天野さんというすごい女性がいるから」と養老孟司の推薦を受けて動き、養老さんを会長、自分は事務局長に座って、がんばっている。脳動静脈奇形という病気をかかえながら、時々気絶しながら、である。

森が海を育てる話はかねて聞いていたが、サケ(鮭)が森を育てる話がでる。「面会謝絶」の開高を探しだして見舞う話もある。著名政治家たちとの人間味ある話も出る。元気の出て来る本だし、元気を出さないといけないと思わせる本でもある。

2017年3月25日にレビュー

『自由人の条件』開高健(その1) 
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-03-29

オーパ! (集英社文庫 122-A)

オーパ! (集英社文庫 122-A)

  • 作者: 開高 健
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1981/03/20
  • メディア: 文庫




ダムと日本 (岩波新書)

ダムと日本 (岩波新書)

  • 作者: 天野 礼子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/02/20
  • メディア: 新書



日本一の清流で見つけた未来の種

日本一の清流で見つけた未来の種

  • 作者: 天野 礼子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/07/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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