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『語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング』石黒 圭著 光文社新書 [日本語・国語学]


語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング (光文社新書)

語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/05/19
  • メディア: 新書


語彙(の量・質)を増強することに、意識的であることの大切さ

中学・高校生向けの英語辞書(英和辞典)をみると、語彙を増やせるようにとの親切な配慮がなされている。一つの単語を調べると、類義語や反意語も示されている。しかも、ソレが一語ではなく、特別枠がもうけられて、意味の微妙な相違を示しつつ、複数取り上げられていたりする。ソレらに思いを向けるならば、“自然に”語彙を増やせるようになっている。『豆単』(『赤尾の豆単』旺文社)で、英語を学びはじめた者としては、イイ時代になったものだなと思う。

“自然に”と記したが、そう思うのは、年の功であろう。しかるべき年を閲したゆえに、ソレが親切な配慮だとわかるのだ。学習当時は、ただただ、ソコに書いてあるので、「そうかコレが同意語(反意語)か」と思ってきただけである。それでも、やはり、そうこうしているうちに、同意語、類義語、反意語に“意識的”であることによって、語彙を増やすことができることに気づくようになる。意識的であることの大切さが分かる。

前置きが長くなったが、いい本だ。もちろん、本書のことだ。多年を経ても、意識することができないできた、語彙(の量・質)を増強するための視点・方法を本書は提供している。「語彙とは何か」の説明から始まり、量を増やす方法、質を強化する方法が示されていく。量については 2章で、質については 3章で扱われる。

説明には、著者の実生活のなかでの知見も示される。子どもたちとの会話のなかで得たものもいくつか示されて、ほほ笑ましい。流石に、こうした本を書く人だけに、言葉について意識的であることよとつくづく思う。身の回りのささやかなところからも言葉を掬い取る、こうした、意識があるからこそ、多くの方法を提供することができるのだろう。

2016年8月22日にレビュー

◎目次

はじめに 言葉が思考を規定する

第一章 語彙についての基礎知識

(一)語彙について考える
(二)理解語彙と使用語彙

第二章 語彙の「量」を増やす

(一)類義語を考える
(二)対義語を考える
(三)上位語と下位語を考える
(四)語種を考える
(五)文字種を考える
(六)書き言葉を考える
(七)専門語を考える
(八)方言を考える
(九)新語と古語を考える
(十)実物を考える
(十一)語構成を考える

第三章 語彙の「質」を高める

(一)誤用を回避する
(二)重複と不足を解消する
(三)連語の相性に注意する
(四)語感のズレを調整する
(五)語を適切に置き換える
(六)語の社会性を考慮する
(七)多義語のあいまいさを管理する
(八)異なる立場を想定する
(九)語の感性を研ぎ澄ませる
(十)相手の気持ちに配慮する
(十一)心に届く言葉を選択する

あとがき/参考文献/索引


「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

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  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書



文章は接続詞で決まる (光文社新書)

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  • 作者: 石黒圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/09/17
  • メディア: 新書



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