『微分と積分 増補改訂版 (ニュートンムック)』 [数学]
ほんとに、「高校で学ぶ微積分までいっきに」わかる。
高校時代、一応、数Ⅲまで履修した。微分・積分も学んだハズだが、覚えているのは、担当教師が、出席簿(閻魔帳)の黒くおおきい堅表紙に積分の記号 ∫ を、白墨・チョーク(古いですねえ)で書いたものを180度回転させ、「まったく同じ(形状に描けた)でしょう」と自慢する姿。みんなで拍手をした記憶がある。その記号がインテグラルというのを覚えてはいるが、「微分・積分」の数学的意味内容についてはサッパリ。総じて『数学』の授業といえば、教師がテキストの問題を次々と黒板に解いていくのを、ひたすらノートに写してばかりで、履修する単元のもつ数学的意味、そのような分野が発達するに至った経緯や発想、さらには応用にまで事細かな解説を受けた記憶はない。
この本は凄い。「なるほどよくわかる、すぐわかる、高校で学ぶ微積分までいっきに理解」とあるが、半日で、目次にある 1:微積分の誕生前夜、2:微分、3:微分と積分の統一まで(4:もっと知りたい!微積分、5:発展編 は未読)読み進めることができた。「イントロダクション①微分・積分とは何か? イントロダクション②科学にいくつもの“革命”をおこしたアイザック・ニュートンの生涯」など、微・積分の創始者たるニュートンの伝記的記述や数学以前の内容部分もあるが、それらもふくめて、途中挫折することなく居眠りすることなく(しかも、寝転びながら、数式があるにもかかわらず)読み進めることができたのは、ひとえに読者が躓くであろう点をよくよく知った上での解説・編集がなされていることを意味するのだろう。
嬉しく思ったのは、「解法のテクニック」ではなく、微積分の数学的意味を知ることができたこと。さらには、現実生活への応用例を多数知りえたこと。
「この本を、高校時代に知っていたら・・」と、つくづく思う。
2016年7月3日に日本でレビュー