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竹中式マトリクス勉強法 竹中 平蔵著 幻冬舎 [教育・学び]


竹中式マトリクス勉強法

竹中式マトリクス勉強法

  • 作者: 竹中 平蔵
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2020/07/17
  • メディア: 単行本


竹中氏の雑草魂が伝わってくる

竹中氏を評して「小泉(純一郎)の茶坊主」というのがあった。権力におもねりへつらう印象から、そう評されていたのだと思う。そういう人物であることを、本書からも理解した。もっとも、良い意味においてである。「茶坊主」は、将軍や大名の周囲で、あらゆる雑用に従事した役職だと〈ウィキペディア〉に記されている。竹中氏は、小泉純一郎首相に仕えたこと、その下で精力的に働き成果をあげたことを自負している。また、銀行勤務時代、王道である営業職ではなく総務課に回され、支店長夫人のこまごました依頼に応じたり、職員の引っ越しの手伝いをしたりなどして、雑用に喜んで従事したことも回顧されている。そして、そうした仕事をした経験がリスクを進んで背負うことのできる体質をつくるものとなったと述べ、さらには雑用を勧めてさえいる。良いポジションから外されてもヘコタレナイ根性を養成したということであろう。要するに、竹中氏は、慶応ボーイのお坊ちゃんなどではなく、苦労人の雑草魂の持ち主であるということだ。経済学で世のため人のためになることを願い、志し、キャリア形成をしてきたという。華々しいポジションも結果としてそうなっただけであるという。

竹中氏は、宮城音弥のいう「能才」であろう。能才とは、社会適応能力に優れた才能の持ち主で、適応力に欠ける傾向のある「天才」と対照させられている。評者は、その言葉を宮城の著書『天才(岩波新書)』で知ったのだが、本書をとおしずっと〈竹中氏は「能才」のなかの「能才」だ〉という思いで読んだ。

前置きがながながしくなったが、変化し先の読めない現代社会のなかでも上手に世渡りしていく力を本書から伝授してもらえる。著者は、自分の経験、人生を、正直に示しつつ、『竹中式』勉強法を説いている。テレビに出る竹中氏の印象とは異なり、たいへんドロ臭くもある。子ども時代、父親のこと、銀行勤務時代、ハーバード大学留学時のこと、小泉総理のもとで仕えた時期のことなど記される。「竹中式」で、著者ほどに勉強するなら、どんな下積みの中からでも這い上がっていけるように、また、ドロのなかからでも花を咲かせることができそうに思う。


2020年3月12日にレビュー

※ 言うまでもないことですが・・
知識を習得することは大切ですが、得られた知識をどのように運用するかはもっと大切です。適切に運用するためには倫理観が求められます。多くの知識を習得したことへの評価とそれを運用する人間への評価はベツモノであることを覚えておきたく思います。

渋沢栄一 人間、足るを知れ―「時代の先覚者」はなぜかくも「無私」たりえたのか

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  • 作者: 永川 幸樹
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 1999/01/01
  • メディア: 単行本



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