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古本道入門 [読書法・術]


古本道入門 - 買うたのしみ、売るよろこび (中公文庫)

古本道入門 - 買うたのしみ、売るよろこび (中公文庫)

  • 作者: 岡崎 武志
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/02/21
  • メディア: 文庫


「敷居は低いが、奥は深い」

書籍・帯に「敷居は低いが、奥は深い」とある。古書道と同じく、それは本書にも当てはまる。たいへん読みやすくまとめられていて、古書道へ深入りするためのよい案内になっている。けっこうな本読みのつもりで、古本にも通じていたツモリでいたが、多々啓発を受けた。

古本というと、評者はすぐにブックオフを思い浮かべる。ところが、出店当時とちがって最近は、出向いても目ぼしいものが見当たらなくなり、足を向けることさえなくなった。背取りといわれる連中がバーコードリーダーを片手に大量に仕入れて行ってしまうからだ。連中の出没した後は、ぺんぺん草も生えない状態になっている。評者にとって面白みのある本が安く入手できなくなってしまった。それが、本書をとおし、背取りの連中に荒らされたあとか、そうでないかを見分けるための示唆を受けた。同じブックオフでもフランチャイズ店と直営店とがあり、どちらに目ぼしいものがあるかも知ることができた。それだけでも、評者にとっては収穫だった。

古本の魅力、楽しみ方を著者の経験から学ぶことができる。敷居をまたぐのに躊躇いを感じる方も、本書をとおして古書店でのマナーを学べば、入りやすくなるにちがいない。本書はまた、古本・古書をめぐる関連書籍の紹介本と見なすこともできる。さらに奥に入りたい方は、それらを読むこともできる。また、その道の達人たち:植草甚一、紀田順一郎、坂崎重盛、鹿島茂、池谷伊佐夫、樽見博、山本善行、坪内祐三の古本への入れ込み方を(「コラム」をとおして)知ることもできる。また、さらには、古本を買うだけでなく、売る側にまわるよう勧められもする。その点でも、敷居を低くしてくれる本である。

ちなみに、本書(中公新書ラクレ版)は2011年発行だが、2017年に文庫化されて、中公文庫から出ている。

2020年3月22日にレビュー
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