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「もしも一年後、この世にいないとしたら」 清水研著 文響社 [心理学]


もしも一年後、この世にいないとしたら。

もしも一年後、この世にいないとしたら。

  • 作者: 清水研
  • 出版社/メーカー: 文響社
  • 発売日: 2019/10/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ツクリ話ではない真実からくる力がある

「1年後」どころか明日のイノチだって分からないというのが現実だ。ところが、それが分からないで(あるいは「分からないフリ」をして)生きているというのが多くの人の実状だ。著者は、精神科医として、もっぱら(薬剤を用いてではなく)カウンセリングをとおして他者と関わっている。その人々は、心理的に助けを必要とするだけでなく、余命宣告を受けて残りのイノチを過ごすガン患者だ。彼らは、「分からないフリ」がもはや通用しないイノチを生きている。それゆえ、著者はフツウの心理療法家よりタイヘンな立場に身を置いていることになる。そこから見える風景がフツウではないことは予想できる。その見えた風景を本書は教えてくれる。ガンになったために(ある意味において「その御蔭で」と言ってもいいと思うが)、イノチの意味を苦しみと悲しみのなかで見い出した人々の経験が語られる。著者自身も、彼らとの付き合いのなかで、“自分の”イノチについて考えることを迫られる。その変化した思いについても記される。文学的に感動を呼び起こそうという意図など著者にはないにちがいない。それでも、ガン患者の経験・語りの記述には感情、たましいを震わせるモノがある。ツクリ話ではない真実からくる力だ。読者はだれもが自分のイノチと生き様について考えさせられるにちがいない。

2019年11月5日にレビュー

がんで不安なあなたに読んでほしい。 自分らしく生きるためのQ&A

がんで不安なあなたに読んでほしい。 自分らしく生きるためのQ&A

  • 作者: 清水 研
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2020/04/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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