「そのうちなんとかなるだろう」内田 樹著 マガジンハウス [自伝・伝記]
立花隆編著『二十歳のころ』にみる著名人たちの姿とダブった
内田さんのまとまった著作を読むのは本書がはじめてです。それでも、これまで新聞掲載の論評などを読むときに、オモシロイ人だなと感じてきました。視点が異色というかなんというか、フツウでないのを感じてきました。そして、そのことに新鮮さを覚えました。
本書をとおして、内田樹という異色の人物についてよく知ることができます。どうも、子どもの頃から異色であったようでありますが、その後の人間形成について知ることができます。
立花隆さんが東大の学生たちを指導して著名人にインタビューし編集した『二十歳のころ』という本があります。そこにみる多くの著明人たちの姿と内田さんがダブリました。そこでは、一般のひとびとから憧れられたり仰がれたりしている人たちに、直接その人生を問い尋ねてみると、彼・彼女たちは(変な表現ですが)「なれの果て」的に著名人・有名人に甘んじているという自覚をもっている。そんな印象です。「なるようにしかならなかったし、なるようになった結果が『今の姿』なんですから、もう仕方ナイっす・・」とでもいう感じです。
本書から学べる点は多くありますが、無駄なちからを排し、脱力することによって、人生を制していく・・そんな(ウラ)技を教えてももらえます。オモシロイ本です。
2019年8月16日にレビュー