「市原悦子 ことばの宝物」 主婦の友社 [エッセイ]
市原悦子語録(いかにも市原悦子さんだなあ・・)
雑誌「ゆうゆう」「婦人公論」などで、インタビューを受けたり対談したなかから、市原さんの言葉が取り上げられている。いわば、「市原悦子語録」である。俳優一筋に人生を送った市原さんの、その時々の肉声が拾いあげられ、それらが、「生きるということ」「戦争の経験」「演じるという仕事」「語るという仕事」「男と女、そして夫婦」「本当の美しさ」「老いるということ」「死ぬということ」の章にしたがって掲載されている。
読みながら、いかにも市原悦子さんだなと感じた。想像からハズレてはいなかった。それだけ、俳優役回りのなかに市原悦子その人が明らかに示されていたのだと思う。その中から、ひとつだけ印象に残ったものを引用してみる。テレビ放映されていた『まんが日本昔ばなし』に関する言葉だ。
「番組が終わって思ったのは、『人間って、ちっぽけだな』と。でも、それは結論ではなかったんですね。人間てどんなに努力しても、報われるとは限らない。信心しても当てにならないし、恐ろしいお化けに遭ったりもする。20年近くやって、ああ、生きるって、世の中って残酷だな、理不尽だなという思いが残ったのね。でも、大事なのはその先で、『けれど、そのなかで一日、一日、生きていくんだ』と。そのことを『昔ばなし』が教えてくれました」(『女性自身』2011年6月7日号) (第4章 語るという仕事 055 p129から引用)
2019年7月30日にレビュー
日本昔ばなし 市原悦子 差別用語を用い、NHKでご難
https://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-05-24