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「意識的な行動の無意識的な理由: 心理学ビジュアル百科 認知心理学編」 創元社 [心理学]


意識的な行動の無意識的な理由: 心理学ビジュアル百科 認知心理学編

意識的な行動の無意識的な理由: 心理学ビジュアル百科 認知心理学編

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2018/10/04
  • メディア: 単行本


最新の学問的成果に接することができて仕合せ

本書は、2016年に刊行された『心理学ビジュアル百科』から「認知心理学編」を独立させたものらしい。パステルカラーに色分けされた装丁・製本で、図版・写真が多用されている。各項目は執筆者の経験から説き起こされ、一見一読カンタンな印象がある。しかし、各項・見開き4ページで構成されていて、相当に詰め込んだ内容となっている。詰め込むために専門性が高くなる。専門用語が多用される。

「高校生から楽しめる」とあり、読者対象は高校生以上のようである。確かに高校生でも、使用される専門用語に関しては、本文中で「~とは・・・」と説明されていくので、ついていけないことはないだろうが、各事項を全体的おおまかに把握するに留まり、さらに補足的な説明を受けないと消化不良に終わる可能性が高いように思う。

もっとも、本書自体、認知心理学の全容を大まかに示すのが主眼であって、微に入り細に入るための本ではないと割り切っているのだろう。つまり、さらに興味のある点があれば、どうぞ別な本で調査研究してくださいということらしい。巻末に用意されている「最新の学術論文を多数収めた充実の参考文献リスト」はそのための配慮らしい。

評者は、はじめて本書で「符号化・貯蔵・検索」という用語を知った。『記憶』に関して用いられる用語である。以前であれば「記銘・保持・想起」として知られたものである。すなわち、最新の学問的成果が収められているということなのであろう。そういう情報に接する機会をもてたことは仕合せである。

できれば、専門用語の初出する部分(「~とは・・・」と定義する部分)においては、大きな印字を用いる、斜体にするなどして際立たせて欲しく思った。巻末の索引とあわせて検索・再読する便を図ってもらえたらと願う。

2019年7月1日にレビュー

心理学ビジュアル百科:基本から研究の最前線まで

心理学ビジュアル百科:基本から研究の最前線まで

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2016/09/12
  • メディア: 単行本



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