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「北沢楽天―日本で初めての漫画家」 作者: 北沢楽天顕彰会 [自伝・伝記]


北沢楽天―日本で初めての漫画家 (もっと知りたい埼玉のひと)

北沢楽天―日本で初めての漫画家 (もっと知りたい埼玉のひと)

  • 作者: 北沢楽天顕彰会
  • 出版社/メーカー: さきたま出版会
  • 発売日: 2019/04/20
  • メディア: 単行本


楽天の生涯と漫画への思い、漫画界への貢献について知ることのできる良書

芸術は爆発だ!の岡本太郎の父:岡本一平とならび称される漫画家:北沢楽天。ただし、楽天のほうがずっと先輩格にあたる。「北沢楽天は、明治~大正~昭和初期にかけて新聞や雑誌に『漫画』を描き、日本の近代漫画界を牽引した『漫画家』です。分かりやすく言えば、『日本で初めて漫画を職業にした人』です」と(「はじめに」)ある。

本書は、「北沢楽天」伝。埼玉県大宮市とゆかりの深い、楽天の家系から説き起こされる。明治9年に生まれた楽天は、父親の期待にそって医学を学びだしたものの、絵の道へ進む。明治28年、横浜の「ボックス・オブ・キュリオス社」に入社する。「当時、横浜居留地には海外からさまざまな情報が入りました。そこで日本の伝統と出合って近代文化が形成されたように、ボックス社を通じてナンキベルと保次(楽天の本名)が出会ったことは、『日本の近代漫画』誕生の必然であったといっても過言ではないでしょう。/ 保次がナンキベルと出会い、西洋風の漫画・カリカチュアと印刷技術を学んだことは・・・」という記述がある。明治32年、「保次は新たな表現の場を求め」福沢諭吉の時事新報社に移る。「時事新報社は、50円という破格の月給を」「小学校教員の初任給が8円の時代」に出す。明治38年、「日本初!カラー漫画雑誌『東京パック』」を創刊する。それは後に、英・中・日の3カ国表記となる。などなど、その画業とともに、時系列で、交友、師弟関係など綴られていく。漫画界だけでなく、政財官界のビッグネームもでてくる。

楽天の生涯と漫画への思い、漫画界への貢献について知ることのできる良書である。定価:本体1200円+税。

2019年6月26日にレビュー

***(以下「漫画の力」p57から抜粋)***

〈漫画を志す人たちには、こんな言葉を贈っています。

「漫画を描くためには漫画の技法だけでなく、日頃細心の注意と観察を怠らず、一寸した出来事にも構想の機縁を捉え、暗示を摑むようにしなければならない」

「本当の漫画家たるには充分の教育を受けて、情操を洗練しなければならない。教育の程度が低ければ、したがって低級卑調な漫画より出来ないのは素より当然なことである」

楽天が描こうとする質の高い「漫画」、目指そうとする「漫画家」の姿がそこに示されており、楽天自身もまた、常に努力の人であったことを物語っています。〉

***抜粋ここまで***

上記部分を読んだときに、木原武一先生がチャップリンについて書いていることを思い出した。

『天才の勉強術』木原武一著 
https://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2016-12-24

天才の勉強術 (新潮選書)

天才の勉強術 (新潮選書)

  • 作者: 木原 武一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/06/01
  • メディア: 単行本



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