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『街なかの地衣類ハンドブック』 大村 嘉人著 文一総合出版 [生物学]


街なかの地衣類ハンドブック

街なかの地衣類ハンドブック

  • 作者: 大村 嘉人
  • 出版社/メーカー: 文一総合出版
  • 発売日: 2016/10/07
  • メディア: 単行本


自然探索に、本書を持って街なかへ出よう!

「都会に自然はない」ように言われもするが、そんなことはないと著者はいう。「都市部の自然は、見慣れてしまって一見すると面白みがないと感じるかもしれません。しかし、木の幹や古いコンクリートなどに近づいてみると、今まで気づかなかった地衣類が織りなす“別世界”を発見できるかもしれません」/「皆さんが普段見ている景色の中には、必ずと言っていいほど地衣類が生えています。しかし、視界に入っていても気づかずに通り過ぎていく人がほとんどでしょう。コンクリートや岩の表面などにペンキの染みのようになっているあの『汚れ』や、木の幹にべったりついている灰色や黄色っぽい『コケ』だと思っていた生き物の正体は、地衣類かもしれません」/「地衣類は私にとって小宇宙のような存在です。・・・中略・・・皆さんが地衣類を“宇宙”と思うかどうかはさておき、その存在を知ると今まで見ていた景色と違う世界に見えてくるかもしれません」とある。

本書のコンセプトは「遠くから色合いで地衣類を見つけて、近づいて観察する」。《本書の使い方・凡例》には「これから地衣類を観察してみたいという方を対象に、都市部に生育する地衣類の見つけ方や見分け方にポイントをおいて解説しています」とあり、「入門書である本書では、遠目で見たときの色合いと、近くで観察したときの “絵合わせ” で、おおよその名前を調べられるように58種を選んで紹介しています」とある。10倍程度(望ましいのは15倍)のルーペを用意するよう勧められている。

ページ構成は、地衣類のある種がどこに発生しているのかわかる「遠目」の写真と拡大写真とからなり、分類、分布、見つけやすさ、生育場所、野外での識別(肉眼で直接観察でき、識別に役立つ情報)、特徴が簡潔に示されている。ページ最上部(天小口)には、「地衣類全体が与える色の印象に基づいて掲載種を6色に分け」検索・同定の目安としている。

厚さ5ミリ、大き目のスマホ程度の、まさに「ハンドブック」で、地衣類の“小宇宙”を発見・識別するのに便利。自然探索に、本書を持って街なかへ出よう!

2016年11月29日にレビュー

校庭のコケ―野外観察ハンドブック

校庭のコケ―野外観察ハンドブック

  • 作者: 中村 俊彦
  • 出版社/メーカー: 全国農村教育協会
  • 発売日: 2002/09
  • メディア: 単行本



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