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THE BOOK OF TREES―系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス [アート]


THE BOOK OF TREES―系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス

THE BOOK OF TREES―系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス

  • 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: ペーパーバック



「樹形ダイアグラムの歴史を叙述した優れた著作」

表紙から「マインドマップ」を連想し、記録し理解し整理して知的生産性をあげる技術を提供する本のように思って当該書籍を手にしました。

実際には、ベン・シュナイダーマンが「序文」に示すように「樹形ダイアグラムの歴史を叙述した優れた著作」です。著者本人の「日本語版へ寄せて」から引用すると、「本書は、系統樹という普遍的なメタファーを踏まえて、獲得したあらゆる知識を視覚化し分析し理解しようとして試行錯誤を続けた人間の好奇心と創意工夫の集積である。本書は系統樹ダイヤグラムの長い歴史に私たちを誘い、中世の宗教的ルーツから現代のコンピューター時代の産物にいたる変遷の様子をたどる。200枚以上の図版を見ることで、人間の好奇心の歴史がいかにさまざまな方法を考案して情報を表現しようとしてきたかがわかるだろう。視覚化というプリズムを通して、私たちは文明の進展を垣間見ることができる」と、あります。

さらに著者「まえがき」からの引用ですが、「本書を構成する11の章は、階層構造を表示するためのさまざまな方法と技法を解説する。もっとも長いChapter01は、古代の樹形ダイアグラムを論じる。かつての樹形ダイアグラムは現実世界の樹木に似せて描かれ、しばしば華麗な装飾を施されていた。つづく10章は、大きく二つのセクションに分けられる。Chapter02~06までを含む第一のセクションは、抽象化されたダイアグラムとしての樹形チャートの初期の形態を示すとともに、ノード-リンク・ダイアグラム(実体を表す“葉”をノードとするとき、ノード間のつながりは“枝”を意味するリンクあるいはエッジによって結びつけられる)のさまざまな事例を挙げる。Chapter07~11までを含む第二のセクションでは、より現代に近づき、最近広く用いられるようになった方法群、たとえば多角的セルを異なる階層ランクによってネストさせる空間充填法、あるいは隣接ダイアグラムを用いた数多くの手法を挙げる。」

各章の目次は、Chapter01:象徴樹 Chapter02:垂直樹 Chapter03:水平樹 Chapter04:多方向樹 Chapter05:放射樹 Chapter06:双曲樹 Chapter07:矩形樹マップ Chapter08:ヴォロノイ樹マップ Chapter09:円環樹マップ Chapter10:多層同心円マップ Chapter11:階層懸垂マップ
となっています。各章は「年代順に配置されていて、カテゴリーごとの歴史的変遷がたどれるようにして」あるとのことです。

「情報の視覚的表現と階層構造の図示を目指して、われわれ人間は驚くべき豊かな創造力を発揮したことを私は知った。本書を手にした読者が私と同じ体験を喜んでいただけたならば、著者として本望である」と、著者「まえがき」は結ばれています。

ただ単に、図版を見て、各図版に付されている解説をみていくだけでも、たのしい経験です。

2015年5月22日レビュー



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